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おしらせ

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2021年12月25日 (土)

杉の柩

Shuginohitsugi

ポアロシリーズ18作目。

アガサ・クリスティー
「杉の柩」

殺人の罪に問われ被告の身として法廷に立つエリノアが、自分の作った食事を口にしたメアリイが亡くなるまでのことを思い出す第一部と、事件の真相をポアロが調査し始めて、すべてが明らかになる第二部というこのお話。
エリノアのなかでは婚約者のロディーやメアリイに対する複雑な心情が揺れ動き、なにやら怪しげな動きをする登場人物も現れ、真相はどこにあるのか?と読み進める側のことも揺さぶってくるクリスティー、さすがとしか言いようがありません。
というか、ポアロシリーズを続けて読んできて「今回はどのパターンか?」と思ってしまうのもあって、余計に揺さぶられるのかもしれませんね…。

2021年12月14日 (火)

きのう何食べた?⑲

Kinounanitabeta19

予想外の、展開。

よしながふみ
「きのう何食べた?」第19巻

今回、シロさんもケンジもお誕生日。どっちも相手のことを色々考えてて、それぞれのお誕生日になったのが良かったです。
それに、ご飯作るのも一緒だったり分担とかしていたりするところが前よりも増えてる感じも好きです。
お互いのことを思い遣るとか、一緒にいる時間を楽しみたいとか、そういう風に思いながら過ごせる人がいるって素晴らしいなとあらためて感じました。
さーてそれにしても。ジルベールこと航の発言から始まったあの件。次の巻、本当に色々ありそうで、楽しみではあるけどハラハラもしそうな予感です…。

2021年12月 9日 (木)

七つ屋志のぶの宝石匣⑮

Nanatsuyashinobunohousekibako15

きな臭さ、さらに。

二ノ宮知子
「七つ屋志のぶの宝石匣」第15巻

人工ダイアの件が政界を巻き込んだものらしいことがはっきりしてきたこの巻。
それはそれとして、宝石やアクセサリーの使い方や見せ方、そういったお店を訪れる人々の背景などに相変わらず心惹かれます。
とくにスティックピンは今回初めて知ったアイテムだったので興味深かったです。
顕定の後輩・宮地くんが頑張ってるところ、店長のちょっと雑なところはありつつ男気あるところなど、デュガリーの人々も面白く描かれていたのが楽しかったです。

2021年12月 4日 (土)

初恋の世界⑩

Hatsukoinosekai10

よっさんと大浦氏、ついに。

西炯子
「初恋の世界」第10巻

よっさんの子どもを取り戻すための闘いに決着が。
…それにしても、よっさんの夫。
ここまでされないと、大事なものを守るためにどうするべきか、愛している人とは違うとしても妻や子どもをどれほど傷つけてきたのか、そんな大切なことに気がつけなかったとは…。
大浦氏の方は、なかなかとんでもないことになってしまって。寿三郎くんは初めて登場した時は、なんだこの人?という感じもあったけど、大浦氏を思う気持ちとか行動力とか、傍から見てるぶんには応援したくなる。駄目かなあ?
…そして、なかなか幸せそうな薫と小鳥遊ですが、繰り返し繰り返し登場したあの封筒が気になるところ。

2021年11月22日 (月)

レプリカたちの夜

Repurikatachinoyoru

ミステリ-?

一條太郎
「レプリカたちの夜」

動物のレプリカを作る工場で働く主人公が白くまを目撃したところから始まるお話。
…背表紙に書かれたあらすじだけでもかなり不思議なお話であることは分かっていたはずなのに、びっくりすることが次々に起こり翻弄されることに。
そして、「人間とは」「自分とは」「自我とは」みたいなことを考えさせられる哲学的な側面も多かったです。
読むのにずいぶん時間がかかってしまったのですが、興味深く面白く感じるところの多いお話でした。
そういえば、この作品。新潮ミステリー大賞受賞作なんですよね…。
ミステリーらしい要素があるといえばある(“事件”的なものは起こるので)…のですが、あまりミステリー作品という雰囲気はあまりないかもしれません。とはいえ、審査員のひとりである伊坂幸太郎さんの「ミステリーかどうかはどうでもいい。でも僕はこの作品を気に入っている。世に出すべき作品だと思った」という言葉には、確かになあ…と納得せざるを得ないところではあります。

2021年11月17日 (水)

酒と恋には酔って然るべき⑦

Saketokoinihayotteshikarubeki7

またも三角関係?

はるこ
「酒と恋には酔って然るべき」第7巻

長野県のお酒「茜さす」が紹介されていたこの巻。
名前は聞いたことあるのですが、飲んだことはないですね…、飲んでみたいですね…。
日本酒部の割り方自由研究が、部員同士の人間関係もふくめてなかなか楽しそう。
それはそうと、今泉くんと上手くいきそうな雰囲気の松子の前にまたしても伊達さんが。
いえ…伊達さんは良い人ですけど、良い人だけに厄介という気も。
今泉くんで良いんじゃないかな~と思ったり。
そんなこんなで、またまたこの先が気になる展開。

2021年11月12日 (金)

ヲタクに恋は難しい⑪※完結

Wotakunikoihamuzukashii11

完結。

ふじた
「ヲタクに恋は難しい」第11巻※完結

ヲタクな人々の恋のお話、これにて完結。
宏崇の歯医者怖いっぷりが凄すぎてつい笑ってしまう、そんなところからこの巻。
これまではあまり掘り下げられてこなかった宏嵩の内面がかなり描かれてて新鮮でした。
そして、ヲタクな人々が思うよりも、周囲の人はそういう趣味に寛容だったり無頓着だったりするよねっていうのも、なんとなく実体験からも共感する部分があったりしました。
本としてはこれで終わりですが、きっとこれからもそれぞれの日々が続いていくんだろうなあ…と想像できるラストでした。

2021年11月 7日 (日)

能面女子の花子さん⑦

Nomenjoshinohanakosan7

能面女子と仲間たち、第7弾。

織田涼
「能面女子の花子さん」第7巻

はっきりそうとは書かれていないのですが、そこかしこにこのご時世らしい要素が盛り込まれてるなあと感じる内容でした。
そしてそんななかでも、花子さんのお茶目&ちゃっかりさんな部分で笑わせてくれます。
今回はさぶちゃんの変態ぽい部分はあまり登場してこなかったのですが、そのぶん、花子さんの周りの色々な人の色々な部分が垣間見られたのが面白かったです。

2021年11月 3日 (水)

100分de名著「ヘミングウェイスペシャル」

Meichohemingwaisp

2021年10月の課題。

NHK-Eテレ「100分de名著」
ヘミングウェイスペシャル
解説:都甲幸治

ヘミングウェイの3作品をその生涯とともに解説。
今まで読む機会のなかった作品に触れるいい機会になりました。
解説のなかでなるほどと思ったのは、「移動祝祭日」からみえる仕事術について。
確かに、その日の仕事を切り上げるタイミングとか、書くためには他のものを読む(インプットとアウトプットの関係)とか、頷けるところがありました。
それに「日本文学」といって思い浮かべるものの範囲って確かに狭いなと。
今のような世界中との行き来が容易な環境なら、文学ももっと多様化してもおかしくないのに、不思議ですね。

2021年10月27日 (水)

移動祝祭日

Idoushukusaijitsu

「100分de名著」より③

アーネスト・ヘミングウェイ
「移動祝祭日」

1920年代のパリで若き日のヘミングウェイが執筆活動に励んだ日々を晩年に回想した作品。
特別難しい内容や文章ってわけでもないのですが、何とも言えない感情が渦巻いているような感じで、思ったより読み進めるのに時間がかかってしまいました。
のちの研究では色々と事実と異なる部分も書かれていることが分かったそうで、たしかに“フィクション”ではあるのかもしれないですね…。
お金ない、貧乏、と言いつつも、仕事部屋が家とは別にあるとか、スキー場のある地域に長期間滞在したりとか、私の個人的な印象ですが、本当に経済的に困っている人に用意できない環境、行動に思えたので…。

私が心惹かれたのは、「サン・ミシェル広場の気持のいいカフェ」である女性を見たときの内面の描写と、牡蠣と白ワインのやたら美味しそうな描写でした。

2021年10月24日 (日)

敗れざる者(われらの時代・男だけの世界)

Wareranojidaiotokodakenosekai

「100分de名著」より②

アーネスト・ヘミングウェイ
「敗れざる者」
(ヘミングウェイ全短編1「われらの時代」「男だけの世界」より
)

今回は「100分de名著」で取り上げられた「男だけの世界」より「敗れざる者」のみ読了。
全盛期を過ぎた闘牛士マヌエルが周囲から引退を勧められながらも闘牛の試合に挑む…というお話。
「老人と海」を読んでからだったので、あまりにも似たタイプのお話だったことにまず驚きました。
しかし、書かれた時期としてはこちらの方が25年ほど早いとのこと。
「老人と海」に出てくる他の漁師たちと同じく、このお話に出てくる若い闘牛士たちに、主人公に対するある種のリスペクトが感じられるのが良かったです。

2021年10月21日 (木)

老人と海

Roujintoumi

「100分de名著」より①

アーネスト・ヘミングウェイ
「老人と海」

老漁師の巨大カジキとの闘い、そして更なる試練…。
カジキとの長時間にわたる闘いを描くなかに、星とか鳥とか、思い出話とか、ちょっとしたエピソードが差し挟まれるのが絶妙なタイミングで、しかもそういう部分もすべて魅力的で飽きさせないのが凄いなと思います。
また、ヘミングウェイは新聞記者時代に培った、ひとつひとつの文章は短くというのを小説を書くときにも生涯続けたそうで、とても分かりやすいのですが、そのなかに、ぐっとくるような表現が多いのも魅力的でした。
作者と作品、両方ともとても有名なので名前だけは知っていて読んだことがなかったのですが、良い時間になりました。

2021年10月13日 (水)

平安あや解き草子⑦

Heiseiayatokizoshi7

第7弾。

小田菜摘
「平安あや解き草子 この惑い、散る桜花のごとく」

平安の後宮が舞台のミステリー、第7弾。
帝の寵愛をめぐる女性たちの争い、嵩那の東宮擁立をめぐる動き。
あれもこれも手に入れようなんて欲張りだと伊子を非難する人物もいるし、伊子自身も「諦めはしないけど全部を手に入れることは難しい」という思いもある状況ではありますが、読み手としては、伊子には望むものは手に入れてほしい、どうにかうまい方法はないものか?と思ってしまいます。
そして、入道の女宮の企みにさらに引き入れられそうになっている人物がひとり。今後が気になるところです。

2021年10月10日 (日)

宝石商リチャードの謎鑑定

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シリーズ1作目。

辻村七子
「宝石商リチャード氏の謎鑑定」

偶然の出会いから、敏腕宝石商・リチャードの店でアルバイトをすることになった大学生・正義(せいぎ)のお話。
宝石自体はもちろん、その宝石に関わる人が持つ思いにも心惹かれるものがあります。
リチャードの謎めいた部分が気になるし、迂闊で誤解されやすい正義の恋など…気になるところがたくさん。
すでに11作まで続いてるシリーズみたいなので、機会を見つけて少しずつ読み進めたいです。

2021年10月 6日 (水)

日本沈没(小説)

Nihonchinbotsu1 Nihonchinbotsu2

日本がなくなる、そのときに。

小松左京
「日本沈没」(上下巻)

太平洋にあった無人島が一晩で沈む。深海潜水艇での調査で海底の異変に気づいた研究者たちがタイトルのような結論に至り、日本列島は地震や噴火などの災害に次々見舞われていく。そんななかでも多くの人はそれに慣れてしまう…。そして、日本列島の危機に、国民の海外脱出のために密かに交渉を進めていた政府。そして週刊誌に踊る「日本沈没」というセンセーショナルな見出し。
以前、Eテレの「100分de名著」で小松左京さんの作品を取り上げていた月に紹介されて気になっていて、それからずいぶん時間が経ってしまいましたが、ようやく読みました。
なぜ日本列島が沈没するという結論に達したのか…など、内容的に難しいところがかなりありましたが、なんとか読み切った感じ。
災害が相次ぐ様子や人々の様子が逐一細かく描かれることで、阪神淡路大震災や東日本大震災はもちろん、数々の台風や豪雨による災害、そして現在のコロナ禍を思わずにはいられません。とくに、大災害を経験した人々が用心のために始めたものの光景は、マスク姿の人々が町中を歩く今の様子を重ねずにはいられません。
このコロナ禍のなか、カミュの「ペスト」など感染症が猛威を振るうようなパンデミックものはいくつも読む機会があったのですが、実はこの「日本沈没」はそういうつもりは全くなく読み始めたので、感染症によるパンデミックもまさに“災害”なんだ、ということをこんなに強く感じ、心に刺さることになるとは思っていませんでした。
そして、田所博士の語り、解説に書かれた第2部を書くことをためらう原因となった部分など、色々なところに小松左京さんの日本や日本人に対する思いが強く籠っているなあと感じました。
いま、読むことができて良かったです。

2021年10月 3日 (日)

100分de名著「群衆心理」

Gunshushinrimeicho

2021年9月の課題。

NHK-Eテレ「100分de名著」
ル・ボン「群衆心理」
解説:武田砂鉄

善良な人々が「群衆」と化す過程を考察、その特性や功罪を論じた社会心理学の本。
ル・ボンは「群衆」とか一般の人のことを否定しているようにも思われるものの、群衆とか多くの一般の人が、正しく(?)物事を考えたり行動したりすれば、世の中は良い方向に変わっていくよということを期待しているのかも?と思いました。
解説者の方の考え方は少し苦手というか、自分とは相容れない部分もあったものの、多くの人の注目を集める人物を利用してあれこれしようとする人々の存在とか、そういうのは近年、特にこのコロナ禍では感じることがあったので腑に落ちるところもありました。

2021年9月24日 (金)

うちの犬が子ネコ拾いました④

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3匹と1人、第4弾。

竜山さゆり
「うちの犬が子ネコ拾いました。」第4巻

大型犬ペリタスと子ネコのキップとマロ、そして主(あるじ)の日々。
みんな“家族”のことが大好きすぎるところに今回もほっこりします。
身動き取れなくなったペリタスの様子に、ある夜、夜中に目が覚めてトイレに行こうと思ったのに肩こりが酷すぎて起き上がれなかった自分の記憶が蘇りました。

2021年9月20日 (月)

鳩の撃退法(小説)

Hatonogekitaihou1 Hatonogekitaihou2

映画の予告編を見て興味を惹かれ。

佐藤正午
「鳩の撃退法」(上下巻)

大量の偽札。
街から姿を消した人々。
そこに関係しているらしい、“あのひと”。
そして図らずも事件に関わってしまった作家で主人公の津田伸一。
あまりにも色々なことが起こり過ぎて、でもこれでまだ半分とは…な上巻。
そしてそこでの急展開で物語の舞台もチェンジ。
偽札騒動、複数の人々の失踪、裏社会の人々。
上巻にある「僕自身を例外として」との文言から、“僕”こと津田が体験したり知りえたこと以外は真相や事実とはほとんど遠い“想像”なんだろう…と思いながら読むものの、津田は自分でも知らないうちに早い段階から様々な出来事の近いところにいたんだなあと言うのが分かってくる…、とはいえ、それもまた津田の想像の産物かもしれず。
最後の真相(?)がパパーッと提示されてスッキリするラストと言えないかもしれないけれど、何とも言えない面白さのあるお話でした。

2021年9月14日 (火)

硝子の塔の殺人

Garashunotounosatsujin

ミステリの詰まった塔。

知念実希人
「硝子の塔の殺人」

北アルプス中腹に建てられたガラス張りの尖塔状の屋敷で起こる“本格ミステリ”的な事件のお話。
お話が展開するたび、あーこれって○○のパターンかも…みたいなのが思い浮かび(○○には色んな言葉が入る)、それが事件の真相にたどり着くヒントでもあり、ミスリードにもなってるのが面白いところ。
そこまでこのジャンルをたくさん読んでるわけではないので、ここに登場する作品名は知ってるけど読んだことないものもあり、読んでみたくなりました。

2021年9月11日 (土)

秘密Season0⑩

Himitsu010

「悪戯」編、完結。

清水玲子
「秘密 Season0
」第10巻

なんとも…胸がつまる結末。
光の、周りの大人に愛情を求める気持ちと生い立ちからくる危うさ、薪と似通った部分。
事件後、薪が光に語ったような未来が来てほしいと思ったのですが…。
壮絶な体験をたくさんしてきながら「第九」での職務に誰よりも厳しく向き合う薪の内面が、同じような性質を持つ光の存在によって、より窺えるような気がした一連の事件とその結末でした。

2021年9月 6日 (月)

七つ屋志のぶの宝石匣⑭

Nanatsuyashinobunohousekibako14

怪しい人物、登場。

二ノ宮知子
「七つ屋志のぶの宝石匣」第14巻

4月は質屋は駆け込み需要で忙しい。というところからスタートのこの巻。
年末年始の悲喜交々もそうでしたが、普段質屋さんに縁がなくあまり知らないので、ほほう…となります。
知らないと言えば、今回出てきたモーニングジュエリーも初めてちゃんと知りました。
そして、人工ダイアの件。芙美子(鷹臣の姉)の結婚話が出てきたとき、
義父になる人が何か知ってそうな感じは前からありましたが、これは「知ってそう」というレベルではないかも…という雰囲気になってきました。
そして、顕定たちが探す“赤い石”じゃないかもしれないけど、顕定が持たされてた“お守り”と関係ありそう?という感じも。
色々と続きが気になるところです。

2021年9月 3日 (金)

100分de名著「戦争は女の顔をしていない」

Sensouwaonnanokaowoshiteinai

2021年8月の課題。

NHK-Eテレ「100分de名著」
アレクシエ―ヴィチ「戦争は女の顔をしていない」
解説:沼野恭子

第2次世界大戦に従軍した女性たちの声を集めた証言文学。
アレクシエ―ヴィチはウクライナ生まれベラルーシ育ち。
政府から反体制とされ欧州各地を転々とした後に2011年に帰国するも、2020年の大統領選に端を発する民主化運動に名を連ねて再び国外での活動を余儀なくされる身。
ベラルーシといえば先日の間のオリンピック中にもひと騒動あったな、自由に物も言えない環境なんだなと、この短い期間で本の中と外両方について思い、生まれた国や時代がその帆の人生に大きく影響するんだな…と感じずにはいられませんでした。

2021年8月27日 (金)

刑務官が明かす死刑の話

Keimukangaakasushikeinoohanasi

死刑に立ち会った人のお話。

一之瀬はち
「刑務官が明かす死刑の話」

刑務所のなかのことを刑務官が語るというスタイルのエッセイマンガ。シリーズになっているものらしく、これは死刑について。
数年前に死刑執行される刑場が公開されたり、オウム真理教事件の死刑執行があったり、またそれ以外でも死刑制度の是非だったり、何かの折に考える機会がないわけではありませんが、執行する側、死刑囚に接する側という視点で考えたことはあまりなかったので、興味深く読みました。
今のところ、死刑がなければ国民感情として納得いかない部分も多い気かするのですが、「国際的に死刑は廃止の方向だから」というような、周りに合わせなければ…というような理由ではなく、自然に高まるような流れになるのであればそれもありなのかもしれない…とは思います

2021年8月24日 (火)

戦争は女の顔をしていない

Sensouwaonnanokaowoshiteinai1 Sensouwaonnanokaowoshiteinai2

戦争のお話。

小梅けいと(原作:スヴェトラーナ・アレクシエ―ヴィチ/監修:速水螺旋人)
「戦争は女の顔をしていない」第1・2巻

第2次世界大戦に従軍したソ連の女性の証言を集めた“証言文学”のコミカライズ。
原作者のアレクシエ―ヴィチさんは500人以上の人にインタビューしたのだそうですが、その人数でも、まだまだ氷山の一角なんでしょうね…。
生活するなかであたりまえのものさえ手に入らないのに、国のために命を賭けて戦う。何とも言えない気持ちになります。
最前線で従軍していた方のお話、家族を送り出した方のお話、どちらも戦争の辛い面が分かり、どのような場所にいても戦争に人生が左右されていて。
やっぱり戦争なんてやるもんじゃないと思わずにはいられません。
そんなことを思う、終戦の日でした。

2021年8月20日 (金)

白い病

Shiroiyamai

パンデミックもの、ふたたび。

カレル・チャペック
「白い病」

戦争が迫るなか、未知の疫病が流行。そこに特効薬を発明したという町医者が現れる…というお話。
この町医者の、治療行為や薬、つまり命や健康を盾に条件を突きつけるという行為が良いことなのか?という疑問や、そういう状況でも戦争やりたいのか…という人間の業の深さなど、短い戯曲のなかで色々なことが心に過る作品でした。
それに、1937年に書かれたというこの戯曲が、あれ…これ今のコロナ禍を書いているのでは?と思わずにはいられない部分がたくさんあったことに驚かされました。

2021年8月17日 (火)

豆の上で眠る

Mamenouedenemuru

“本物”とは。

湊かなえ
「豆の上で眠る」

結衣子が小学一年生の時、小学三年生の姉・万佑子が行方不明になり二年後に帰ってきた、けれど帰ってきたのは見知らぬ少女だった…。
中盤くらいから「こういうことじゃないの?」という予想はだいたいできます。ですが…、主人公が全く疑いもしていないならともかく、帰ってきた姉に疑いを持っている主人公に対する周囲の人々の対応、とくにそれなりに分別のつく年齢になっても本当のことを話すということもなければ、姉が行方不明になった間に受けた心の傷のケアもしていないし、それに対する罪悪感も薄そうで。その酷さはもちろん、真実を知ったことで“本物”の姉も失ったのではないか…と思うと、主人公のことが気の毒になりました。

2021年8月12日 (木)

盤上の向日葵

Banjonohimawari1 Banjonohimawari2

将棋と将棋の駒に関わる人々の数奇な運命。

柚木裕子
「盤上の向日葵」

埼玉県の山中で発見された白骨遺体と将棋の駒の謎。そして異色の経歴を持つ天才棋士・上条桂介の生い立ち。
幼い頃に将棋と出会い大学進学で故郷を出て、真剣師の東明(とうみょう)と出会った佳介。
そして、死体遺棄事件を追う埼玉県警の佐野・石破。
ふたつの視点で進む物語を追いながらだいたいの筋は予想し、でも何か意外な事実もあるかもしれないな?という期待もしつつたどり着いた真相。
なんというか…、色んなものに苦しめられ続けた佳介が選ばざるを得なかった道がこれか…と思うと辛く切なくやるせなかったです。
ただ、あの駒が、ああいった出自のものではなかったら、警察が事件の真相にたどり着くのは難しかったのでは…とも感じました。
将棋は少し興味のあるジャンルでしたが、真剣師の存在は今回初めて知りました。
そして、羽生善治さんによるあとがきで、登場人物のモデルらしい人と幼い頃遭遇したというエピソードに驚きました。

2021年8月 6日 (金)

作家の秘められた人生

Sakkanohimeraretajinsei

秘密は明らかになったのか。

ギヨーム・ミュッソ
「作家の秘められた人生」

地中海に隠遁しているかつての人気作家フォウルズ。彼にコンタクトしようとする小説家志望のラファエルと新聞記者のマティルドが島に現れた頃、島で女性の惨殺死体が発見される事件が起こり、大きく事態は動く…というお話。
思った以上に登場人物同士の関係が濃く絡み合っていることや、様々な“真実”が明るみになっていくたびに、ページをめくる手が止まらなくなっていきました。
そして、フォウルズが実在の人物のようであり、でも“真実”は別にあるようにも思わせるエピローグでモヤッとする感じが、読み終わった後に何とも言えない余韻を残します。
初めて読む作家の方だけど、とても夢中になれる作品を読めて良かった。また何か読んでみたいと思いました。

2021年8月 3日 (火)

100分de名著「老い」

Oimeicho

2021年7月の課題。

100分de名著
ボーヴォワール「老い」
解説:上野千鶴子

NHK-Eテレ「100分de名著」のテキスト。
私にとっては「老い」はいつか来るものとは思いつつも、当事者感覚にはまだ遠い部分もあります。
上野千鶴子さんの解説のなかで、ご自身が40歳過ぎに新しいジャンルで研究を始めたことが書かれており、私自身が20代後半の頃「転職するなら30歳までにしないともう無理」と漠然と思っていたことを思い出し、ハッとさせられました。
40代50代でも、まあなかなか体や頭がついて行かないこともあるでしょうが、新しいことに挑戦することをあきらめなくてもいいのかもしれない…と少し勇気をもらう部分はありました。
反面、「老い」とどう向き合うか、それを周囲や多くの人にどう見せるか、または見せないのか、そういう面では、社会の概念にとらわれている部分もあるかもしれないけれど、その人や家族それぞれの考え方があり、「こうするべき」「こうあるべき」と決めるべきでもない、とも思いました。

2021年7月27日 (火)

ポアロのクリスマス

Powaronochristmas

シリーズ17作目。

アガサ・クリスティー
「ポアロのクリスマス」

ポアロシリーズ17作目。
富豪で偏屈な老人リー氏の一族が集まった屋敷で起こった、血みどろの殺人事件。その捜査にポアロが協力することになる…というお話。
クリスティーが書いた「親愛なる…」で始まる前書きが心に引っ掛かり、今まで以上に注意深く読んだつもりが、私が思ったのとはちょっと違うところに真犯人がいました。
それが分かってみるといろんな出来事が全く違って見えてきたり、さりげなく描かれていることに重要な意味があったりして、面白くて楽しみました。

2021年7月24日 (土)

作家の食卓

Sakkanoshokutaku

作家と食。

コロナ・ブックス
「作家の食卓」

なんというか…やっぱり、物語を書いたりとかそういう才能のある人っていうのは、グルメかどうかは別にして、独特のこだわりがある人が多いのかもしれないなあと思いました。
きれいなカラー写真とともに紹介されているページも心惹かれましたが、三島由紀夫さんがイカとカニが嫌いな理由や、カニに至っては“蟹”という字も嫌いだったとか、泉鏡花さんがばい菌恐怖症で餡パンを食べるときも自分が摘まんだところすら捨てたとか、そういうちょっとしたことに触れているのも面白かったです。

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