クラシックミステリー『名曲探偵アマデウス』事件ファイル♯4チャイコフスキー「交響曲第6番」~遺された楽譜の謎~
クラシックミステリー『名曲探偵アマデウス』
事件ファイル♯4
チャイコフスキー「交響曲第6番」~遺された楽譜の謎~
「白鳥の湖」「眠りの森の美女」などのバレエ音楽や「ピアノ協奏曲第1番」などで知られるロシア最高の作曲家・チャイコフスキー、最後の交響曲、それが「交響曲第6番“悲愴”」。この曲の完成から二ヶ月、自らの指揮で初演してからわずか9日で、チャイコフスキーはこの世を去ってしまったのでした。
聞く者すべての心を深く揺り動かすチャイコフスキーの驚異の作曲技法、その全てが明らかに…?
依頼人は、主人に先立たれた女性。クラシック音楽ファンだった夫の持ち物の中から、「l君に贈る」と書き込みのある楽譜を発見。その楽譜とはチャイコフスキー「交響曲第6番“悲愴”」。“君”というのがいったい誰なのか、そして夫には何の目的があったのか知りたいと、天出のもとを訪ねたのでした。
楽譜を調べ始めた天出たちは、楽譜にたくさんの書き込みがされていることに気がつきます。まずは指示記号。速度・強弱・表現などの指示に赤丸がつけられていました。チャイコフスキーは指示記号を多く用いたことで知られているそうですが、出来るとか出来ないとか、そういうことは関係なしに非常に細かな…デジタルな感覚での強弱の指示がされていたり…表現したいことをいっぱいいっぱい楽譜に書き込んだんでしょうね。
そして、所々にある蛍光ペンでのマーク。これは第一楽章第二主題の登場シーンにつけられていることが分かります。この主題が登場するたびに変化して、その響かせ方で心の揺れを表現していることがわかります。
こういった曲を作った背景には、チャイコフスキーが金銭的援助を受けていたメック婦人(未亡人)との文通が鍵を握っているようです。彼女からは多額の年金を約束され、それが14年間も続いたにも関わらず、いちども会うことなく手紙のやり取りのみで繋がっていたのだそう。しかし、婦人から突然手紙のやり取りをやめたいという申し出があったことが、この交響曲に影響を与えていると思われるのです。
しかし同時にこの曲には、終曲の暗い奈落を思わせるフィナーレに、絶望ではなく、全てを浄化する何もない世界を感じさせられ、もしかすると、この楽譜を残した依頼人の夫は「悲しんでばかりではなく、前に進んで欲しい」という妻へのメッセージを込めたのではないかと…。それにしては依頼人、やけにパワフルにも見えましたけど…(苦笑)。
暗い曲調=悲しみと絶望だけではない、さまざまな感情・状況描写を感じさせられました。
次回はシューベルトの弦楽四重奏曲。あの有名な推理小説をもじったような名前の村が登場するようです…。ちょっと怖いかも?
天出臼夫…筧利夫
響カノン…黒川芽以
千葉しずか…根岸季衣
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