藤原道山ライブinまつもと市民芸術館
前日のワークショップでますます楽しみになったライブに出かけてきました♪
藤原道山ライブ(スペシャルゲスト・SINSKE)
まつもと市民芸術館小ホールにて
5月4日(日) 14:00開演
尺八:藤原道山
マリンバ:SINSKE
[曲目]
第一部(ソロ)
鶴の巣ごもり
シランクス
甲乙(かんおつ)
無伴奏尺八組曲第5番「ペルシャ」
…休憩
第二部(デュオ)
空(尺八)
荒城の月
アメイジング・グレイス(マリンバ)
月夜浮遊
アヴェ・マリア
ボレロ
(アンコール)
春の海
アメイジング・グレイス(尺八)
前半は袴姿が凛々しくカッコいい(←ん?一緒か…)道山さんが登場して、伝統的な尺八の曲から、洋楽まで4曲が演奏されました。どれも初めて聴く曲ばかりでしたが、それぞれに違う表情をもった曲ばかりで、なかなか楽しかったです。
1曲目は「鶴の巣ごもり」。じつは今まで尺八の古典の曲ってあまり聴いたことがなくて…これが初体験になって、知らない曲ながらいかにも「和!」って感じで、尺八のライブを聴きに来たなって雰囲気になってきました。
2曲目の「シランクス」はフランスの作曲家・ドビュッシーのフルート曲だそうです。そういわれてフルートの音色を思い浮かべて聴くと、あぁなるほどなぁって感じで(どんな感じだか…)。ドビュッシーといえば、その頃フランスで流行していた日本文化(ジャポニズム)の影響を受けたことでも知られ、「交響詩<海>」の表紙に葛飾北斎の「富嶽三十六景・神奈川沖浪裏」が使われていることでも有名です。そんなこともあって…ただ洋楽というよりはどこか和風というか不思議なメロディで、尺八の音色にも合うなぁと感じられました。
道山さんは高校生のときブラスバンド部に入っていて、そこではフルートを吹いていたのだそうですけど、指揮者をしていたことのほうが多かったのだとか。うーん…指揮者も似合いそうですよね。ちょっと見てみたかったかも(笑)。そこでの洋楽器を演奏したり五線譜をたくさん読んだ経験が今にも生きていると思う、とお話されてました。
3曲目の「甲乙」は“かんおつ”と読みます。尺八の用語で高い音を甲(かん)、低い音を乙(おつ)と呼ぶところからきている曲名。陰と陽、緩急、強弱などの対比を使った曲で、私はやっぱり激しい部分というか…早くなる部分が、道山さんの指の動きを見るだけでも楽しくて、ワクワクしました。
前半最後の曲は「無伴奏尺八組曲第5番<ペルシャ>」。ヴァイオリンとかチェロとかの無伴奏ソナタとかはよく、タイトルくらいは聞くんですけど尺八もあるとは知りませんでした。尺八が奏でるオリエンタルなメロディが不思議で…でもたとえば、砂丘(というか砂漠)を馬で旅する人や、照りつける太陽の日差しなど、絵がはっきり浮かんでくるようでした。尺八の底(?)のところを叩いて、馬の蹄の音を出すところが面白かったです。
休憩明け。緑っぽい、派手目な柄のシャツに茶色っぽいジャケットとパンツで登場した道山さん。袴姿も良かったですが、こっちもカッコよかったです♪
1曲目に道山さんがオリジナル曲「空」(“くう”と読みます)を演奏したあと、道山さんの紹介でマリンバ奏者(マリンビストと言うそうです)のSINSKEさんが登場されました。黒い上下に白いシャツという格好で、道山とはまたタイプの違うカッコいい方で…このおふたりがステージに揃うと、ちょっといい感じというか…華があるなと思いました。
2曲目はおふたりで「荒城の月」。そして3曲目はSINSKEさんのソロで「アメイジング・グレイス」。ニューヨークで初めてライブをしたのがあの9.11の同時多発テロの直後だったとかで、そのときのニューヨークでのエピソードとともに演奏してくださいました。マリンバのやわらかい音が心地よく、そのおなじみのメロディに聴き入ってしまいました。
そして…SINSUKEさんによるマリンバの説明や道山さんとの面白いトーク。
SINSKEさんが演奏に使っていたマリンバは長さが3mくらいで5オクターブの音を出せるものだそうで…「大きい楽器ですよね」と道山さんに話を振られたSINSKEさんが「一家に一台どうですか?テーブルとか、あとバーカウンターにしてグラスを滑らせたり」とジョークを飛ばし、道山さんに突っこまれるという一幕もありました(笑)。
そんなトークを織り交ぜつつ、4曲目に演奏されたのがSINSKEさんが道山さんとのコラボ用に作ったという「月夜浮遊」。もうこの曲、とにかくカッコよかったです。興奮!って感じで(訳の分からない感想ですみません…)。いま製作中のアルバムに入るかどうか分からないけど…というお話でしたけど…また聴いてみたいので是非!と思いました。
5曲目はグノーの「アヴェ・マリア」。シューベルトのも素敵ですけど、私はこっちのほうが好きです。マリンバの優しい音色と尺八の音色に心が洗われるようでした。
そして最後の曲はラヴェルの「ボレロ」。
ここで披露されたエピソードが、私にとっては実にツボで…(笑)。
狂言師の野村万作さん(私の大好きな野村萬斎さんは万作さんのご長男です)が人間国宝になられたとき、大学で万作さんから狂言を習っていたり、あと萬斎さんとは一緒の舞台でお仕事をされていた関係で、お祝いの会で「ボレロ」を尺八と何か洋楽器で演奏して欲しいとリクエストがあって、マリンバとのデュオ用にアレンジされたものだとか。
じつは、尺八や道山さんに興味を持ったきっかけが、道山さんも出演された萬斎さんの舞台「敦-山月記・名人伝-」を観に行ったときだったので、この辺の繋がりっていうか…エピソードを聞くことが出来たのは、すごく嬉しかったです。
この曲自体をすごく好きで、芸術館のHPに載っていた曲目で「ボレロ」の3文字を見たときからいちばん楽しみにしていたところに持ってきて、このエピソード。万作さんや萬斎さんもこの演奏をお祝いの席で聴かれたんだなぁと思うと、それだけでも感慨深かったですが、演奏もとっても素晴らしくて、色々と面白い部分があって興味深かったです。
最初に聞こえてきたのが弦楽器のピッチ・カート部分を奏でるマリンバで…その部分からワクワクしてきて…で、気がついたら小太鼓が刻むリズムを尺八の音だったので、そういう使い方もあるんだなって…初めて道山さんの演奏を聴いたときに感じたことをまた思い出していました。そして、中盤に登場するホルンやトロンボーンの艶っぽい音色に、尺八のあの独特の、かすれのある音色は通じるものがあるらしくて…なんかすごく色っぽい響きでした。
(…よろしければ、こちらなどいかがでしょう。当ブログ内の、「ボレロ」に関する記事です)
そしてアンコール。いったんステージから降りられたおふたりが再び登場して、「春の海」。琴と尺八で演奏されるこの曲を、尺八とマリンバ(道山さんの談によれば「木琴だから木のお琴」)で。マリンバの音色が、のどかな春の海を思い起こさせてくれて、琴とはまた違った魅力がありました。
で…「春の海」のあと、ステージ上に何本か置かれていた尺八を全部持って行かれたので、あぁこれでお終いかなと思いましたが、道山さんおひとりで再び登場されました。そして…「アンコールの2曲目は全く考えていなかったんです…」とおっしゃっていたら客席から「アメイジング・グレイス!」とリクエストの声があり、それに応えて演奏してくださいました。SINSKEさんのものと、道山さんのもの。同じ曲を違ったバージョンで聴くという、なんとも贅沢な感じで…大満足なライブでした。
おまけ…。
終演後に、CDを購入した人対象でサイン会がありました。
せっかくだからおふたりともサインしていただこう♪ということで、1枚ずつ購入。
(上)藤原道山さんのアルバム「かざうた」のCD表面に日付入りでサインしていただきました。きのうのワークショップでお世話になったお礼とか色々。ワーククショップでいちどお目にかかったので、私としては思ったより緊張せずお話できてよかったです。
(下)SINSKEさんのアルバム「THAT’S MARIMBA!」のCD表面にサインしていただきました。写真では見えづらいですが、スマイルくんみたいな顔の書かれたかわいいサインです。頭の回転がトロくて…ジョークにも上手く反応できず申し訳ない気持ちになりましたが…すごく気さくな感じで話してくださって、最後は手を振って見送ってくださいました。なんて良い方なんでしょう。
そんなわけで…ライブで存分に楽しみ、サイン会では緊張しつつも、少しですがお話させていただいて、いい時間を過ごさせていただきました♪
で…その興奮も冷めやらないまま、私は次の目的地へ向かいましたが…そちらのお話はまた次に。
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コメント
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またまた同じ空間にいたとは。びっくりしました。
滅多に聴けない楽器のコンサートだったのと友人が道山さんのファンだったので行きました。
いわゆるイケメンと言われる方は、周囲もつい外見に目がいってしまうきらいがありますから、逆にそれがハンデ(演奏をちゃんと評価してもらえるのか、というような)になってしまい、気の毒かなと思うところがあります。
が、だからこそ人一倍練習もするし、感性も磨こうという鍛錬もされるのでしょうね。
私はとにかくSINSKEさんが、衣装と言い、外見がホストさんか、流行の芸人さんっぽく見えてしまい、(あ、内野さんにも雰囲気似てませんでした?)申し訳ないけど、笑ってしまいそうであまり直視できませんでした。でも、彼の日本人離れした溢れんばかりのサービス精神や作曲のセンスはとても素晴らしいと思いました。
「月下浮遊」は是非、また聴いてみたいです。
投稿: kn | 2008年5月 7日 (水) 23時05分
>knさん
ほんと、びっくりです。
なるほど、ご友人が道山さんのファンで…。
ほんと、どちらもなかなか聴く機会のない楽器、そして組み合わせでしたね。
イケメン(という言い方が適当かどうか分かりませんが)ということで注目を集め、多くの人に知ってもらえるメリットもありながら、それが障害になる部分も、確かにあるでしょうが…おふたりとも、単なる見た目ではなく、演奏する姿、そして音から伝わる魅力を持った方だと思いました。
knさんも書かれていたように、全くイメージの違うぶたりって感じでしたよね。道山さんは、そのたたずまいが凛々しくて、見ているこちらも、背筋がピシっと伸びる感じで…、やっぱりSINSKEさん、ホストさん風でしたよね?衣装とかヘアスタイルとか。あの芸人さんよりはずっと男前でしたけども。…そう言われれば内野さんにも似てるかもですね。でも、演奏中のグッと集中した表情には引き込まれました。
そうそう、「月夜浮遊」は凄かったですね!演奏後に思わずって感じで、ワッと歓声があがりましたもんね。新しいアルバム、6月25日発売にきまったそうなので、そちらに入っていることを期待して待ちたいですね♪
投稿: りみっと | 2008年5月 8日 (木) 01時24分