大河ドラマ『篤姫』―第十八話・斉彬の密命
婚礼道具が揃ったところへ襲った安政の大地震。
斉彬が大奥で篤姫にして欲しいこととは…?そして尚五郎とお近のことも気になります…。
大河ドラマ『篤姫』
―第十八話・斉彬の密命
安政の大地震により篤姫の江戸城大奥への輿(こし)入れは白紙に戻ります。篤姫が江戸の薩摩藩邸で暮らし始めて、はや2年。婚礼の目処も立たない日々に、さすがの幾島も焦りをおぼえますが、このような試練こそ将来の苦難に備えた自己鍛錬になる、と前向きにとらえる篤姫の姿に救われるのでした。
薩摩に帰った尚五郎は、斉彬の命に従い、お近との婚礼の準備を進めていたものの決心がつかずにいました。そんなある夜、尚五郎の家を密かに訪ねたお近が今回の縁組を尚五郎の方から断ってもらいたいと申し出ます。お近は尚五郎よりも7歳も年上で体も弱いことを非常に気にしていたのです。尚五郎は、お近の謙虚で素直な心を知り結婚を決意するのでした。
…ようやく篤姫の婚礼の日程が決定し大奥に移る前夜、斉彬は篤姫に密命を授けました。それは、篤姫が将軍・家定との間に世継ぎを産めなかった場合は、次期将軍を一橋家の慶喜とするよう家定や大奥の人々を説得せよというものだったのです。篤姫は斉彬が自分を御台所にしようとした最大の理由を、初めて知るのでした。
翌日、大奥から迎えにきた滝山に従い篤姫はとうとう江戸城へ向かうことになり…。
今回は尚五郎と篤姫のふたりの、それぞれの婚礼に向かうお話。
前回、小松の死をうけて、小松家への養子入りとお近を妻とすることを斉彬に命じられた尚五郎。お殿さまに命じられたことで断りようもないことですが、決心がつかず大久保に相談しています。お近のことを妻にするなどと考えたこともなく、妻にするのだという決め手もないまま夫婦(めおと)になるのはいい加減だ、というのです。篤姫とずっと関わってきたせいか…どこか生真面目で筋を曲げたくないところがあるみたいですね、尚五郎も。
そんな尚五郎の心を見て取ったお近は、両家の顔合わせののち尚五郎を訪ねて「今回の縁組を断ってほしい」と申し出るのですが…そんな行動が、尚五郎の迷いを吹っ切らせることになるのですねぇ。迷いのなくなった尚五郎の真っ直ぐな言葉、そしてそれを聞いたお近の驚きと再びの涙。なんだか胸が熱くなります。
そして…ふたりの祝言の日。そういえば篤姫の兄・忠敬はお近を好きだったんでしたっけ…どうりで飲みすぎだし、尚五郎に絡むわけだわ(笑)。そんななかでも大久保たちが訪ねてきてお祝いにと「高砂や…」と謡うシーンは、固い絆と友情を感じられてジーンときました。
そして…仲睦まじいようすのふたりにほのぼのとさせられました。
で…肝心の篤姫。未曾有の天災が襲った江戸では、婚礼どころではないということで…江戸へ移ってから2年が経ち、いつになったら御台所として江戸城に迎えてもらえるのかとジリジリする幾島。そして焦っていないように見える篤姫自身も、斉彬や斉昭らの働きによって婚礼の日取りが決められても「今回も、もしかしたら…」と疑り深くなったようです。
それでも入城の日は迫り、明日には江戸城へ移るという日。斉彬から、大奥での役目が篤姫に伝えられます。それは家定を支え助け、そしてお世継ぎを産むこと。家定はこれまでに御台所をふたりもうけましたが、どちらも病で亡くなりお子がないので、もしも篤姫が男子を産めば、必然的にその子が次期将軍ということになるわけです。なぜ、それが必要なのか。他国との関係が微妙な時期、攘夷派と開国派によって国がまっぷたつになる懸念のある今こそ、幕府の立て直しが急務で、そのためには揺るぎないお世継ぎの存在が必要というわけです。国がまっぷたつになろうとしているときに、次の将軍が誰かというようなことで揉めるのは避けたいということでしょう。
そしてもうひとつ。万が一、篤姫がお世継ぎを産むことが出来ず家定に何かあった場合、次期将軍には一橋慶喜を指名するよう家定を説き伏せること、つまり次期将軍・慶喜への動きについての、大奥での根回し。それが篤姫に課せられたもうひとつの役目。
なんか、これを見ると将軍はお飾りで、御三家・御三卿や老中など力のある大名の思惑によって幕府や国が動かされているという感じですが…これってなんか、大臣はお飾りで実際は官僚がやりたいようにお役所や国を動かしているっていう、いまの官僚制度に似ているような気がするのは私だけでしょうか。
そんなわけで、きょうも家定はなにやってるんだろうっていう…読んでいる書物(たしか『源氏物語』)は逆さまだし…(笑)。でもやっぱり、ただの暗愚とは思えない部分が見え隠れしますね…。
さて、次期将軍にと斉彬たちが推すのは、水戸のご老公・斉昭の次男で一橋家の養子となった一橋慶喜。演じるのは平岳大さん。このドラマが始まった頃、島津本家の家老・調所広郷を演じていた平幹二朗さんの息子さんですよね。なんだか不思議な感じ。
斉彬から密命を受けた篤姫は、英姫からも呼び出しを受けます。そして…「そなたに見せたいものがある」と顔を覆っていた布を取ってみせる英姫。夫である斉彬にでさえ長いこと自分の心のうちを見せずにいた英姫が、隔てなく接しようとした…そこに、そうしないではいられない、篤姫の人としての魅力というか…人をひきつける力のようなものがあるんでしょうね。ほんとの親子のようにとはいかなかったものの…心の通じ合う部分を感じられて、清々しさを感じると同時に、どこか寂しさも感じさせられました。
そして、ついに篤姫出立のときが。
いや…なんかほんと、やっと!って感じで…ここまで長かったなぁ。
でもまだ…大奥でもなにやら波乱の予感。というか、次回は家定と顔を合わせるのかなぁ…ちょっと心配になってきました。「篤姫とは誰じゃ?」とか言ってたし…(汗)。
とにかく来週を待ちたいと思います。
篤姫…宮﨑あおい
島津斉彬…高橋英樹
幾島…松坂慶子
西郷吉之助(隆盛)…小澤征悦
英姫…余貴美子
小の島…佐藤藍子
徳川斉昭…江守徹
松平慶永…矢島健一
阿部正弘…草刈正雄
堀田雅睦…辰巳拓郎
徳川家定…堺雅人
滝山…稲森いずみ
尚五郎(小松帯刀)…瑛太
お近…ともさかりえ
肝付兼善…榎木孝明
大久保正助(利通)…原田泰造
島津忠敬…岡田義徳
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