軽井沢八月祭「リサイタルシリーズ」at道山さん(軽井沢大賀ホール)
連休最終日、前の週に続き…最近気になっている尺八奏者・藤原道山さん出演のライブに行ってきました。
軽井沢八月祭「リサイタルシリーズ」
8月17日(日)16:00開演(軽井沢大賀ホールにて)
尺八 藤原道山
箏 遠藤千晶
[曲目]
鶴の巣籠
五段砧*
無伴奏尺八組曲第5番「ペルシャ」
空
上弦の曲*
(*は尺八と箏の合奏。ほかは尺八のみ)
箏との合奏だった2曲のほかは、5月に出かけた松本でのライブでも演奏された曲でしたが、そのどれもが素敵で、また聴きたいと思っていたので嬉しかったです。この「リサイタルシリーズ」はひとつずつの演奏会が60分なので結構短く感じましたが、内容は濃く、楽しい時間でした。今回は箏奏者・遠藤千晶さんとの共演ということで、また違った曲を聴けたのも良かったです。
じつは箏の演奏を生で聴くのはこれが初めてでした。「五段砧」を聴きながら、箏と尺八の音色が最初は、たとえばお正月に感じるような華やかさを感じながら聴いていたのが、だんだんと涼しげに聴こえてきて…とても不思議でした。この日は霧雨の降る生憎のお天気でしたが、もしこれが陽射しの強い夏らしいお天気だったとしても、暑さをしばし忘れるだろうなぁという、そんな音色でした。
道山さんも、共演者である遠藤さんも和装で、このリサイタルシリーズのなかでは珍しいんじゃないでしょうか(いえ、ほかの演奏会は行ってないので分からないですが…)。背が高く細身な道山さんは袴姿になるとそのスタイルの良さがますます際立ちますね。
遠藤さんもまた可愛らしく美しい方で…ステージはとても華やかな雰囲気でした。
…途中で、尺八についてのお話がありました。尺八には前に4つ、後ろに1つの合計5つの孔(あな)しか空いていませんが、12音階(ピアノの黒鍵+白鍵を合わせた1オクターブ分)と同じ音を出すために、孔を半分とか四分の一とか空けて音を作り、このほかに首の振り方、息の出し方で音色を変えています。
私はいま、孔を半分空ける“半音”を練習しているんですけど、なかなか上手く音が出てくれないんですよね…。指の動く様子とか、歌口に当てている唇の結び方とか…私は最前列の席でしたけども、なんならすぐ横で見てもいいくらいです(変な趣味ではありませんよ、勉強のためですとも、一応…苦笑)。
孔を半分空けるとかの特殊な音を使わず多彩な表現をすることを目指して道山さんが作曲した「空(くう)」は、そうとは思えないほど変化に富んでいて楽しく、また真っ直ぐで素朴な味わいもあって気持ちのいい曲です。
それから。この日の道山さんは、2つの楽器を使い分けていました。どちらもここ10年くらいの間に作られた比較的新しいものだそうですが、そのうちのひとつはなんと、材料となる竹自体は400年くらい前のもので、古い民家の屋根に使われていたものを再利用(?)して作られた楽器なのだそうです。竹の表面が縞々模様になっているなぁと思っていたら、それは、囲炉裏から昇った煤(すす)が付いた黒い部分と、縄で束ねられていたために煤の付かなかった白い部分があるためだとか。面白いお話を聞くことができました。
最後の「上弦の曲」は、手のひらで弦を叩くようにして音を出したり、激しく掻き鳴らすようにする部分があったりして、箏の演奏とか曲には詳しくありませんが、かなり斬新な曲なんじゃないかなぁと思い、遠藤さんの箏の演奏を見ているだけでも楽しかったです。後半は道山さんの尺八の音色も激しく、テンポが上がっていってカッコよかったです。
(おまけ)
終演後。サイン会があったのでもちろん参加してきました~。今回演奏された「鶴の巣籠」と「五段砧」が収録されている道山さんのアルバム「壱」のCD表面にサインしていただきました。
最初、CDが黒いのでブックレットにしていただこうと思っていたら道山さんのほうから「銀(色のペン)もあるけど…」と聞いて下さって、こちらへ。でも…日付のところでインクがドバっと出てしまって、道山さんはなんとか形にしてくださったんですが、持って帰る途中で私がやってしまいました…(泣)。でも「乾くまで気をつけてくださいね」と丁寧な応対の道山さんに感激でした♪
…私は結構最初のほうに並んでいましたが、前の方たちに時間をかけていらしたので、その間、道山さんと上手くお話できるよう心の準備(?)をしてました。
まずCDにサインをしていただきながら、きょう良かった曲の感想をお伝えして、握手をしながら松本でワークショップに参加したことと、それをきっかけに尺八を始めたことをお伝えしました。ここまでは今回お声をお掛けしたらお話しよう、と決めていました。
「どうですか、音は鳴るようになりましたか」と尋ねていただいたので「もうめげそうです~でも頑張ってます」とお答えしたら笑ってらっしゃいました。ここで「ハハハ…」と大きく笑って下さったのでこちらもちょっと緊張が解れました。
いつも(と言っても3回目くらいですが…)道山さんは爽やかで、そして、とてもきれいな笑顔をされる方だなぁと思います。お話をさせていただくと、緊張もあってとてもドキドキするんですが、同時にすごく癒されます。
…そんなわけで、どさくさにまぎれて2回も握手してもらったこともあり、かなりハイになって会場を後にしたのでした~。
きのう、「簡潔に書くぞ~」と宣言したものの、やっぱり無理でした(爆)。
まぁいいです。書きたいことは大方書けたので満足です(自己満足)。
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コメント
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そうそう、書きたいことは書かなくちゃ。(笑)
なるほど~、「上弦の月」、面白そうですね。
それに和楽器のコンサートは新鮮だし、
往く夏を少しの感傷を込めて見送るというのは、やはり日本人の情緒に合う気がします。
道山さんも自分の尺八で愛好者の裾野が広がったとわかれば、嬉しいと思います。
日付のハプニングもライヴ感があって、良い思い出になりましたね。
投稿: kn | 2008年8月23日 (土) 16時15分
>knさん
はい、書きたいだけ書きました(笑)。
「上弦の月」は比較的新しく作られた曲だそうで、それだけに
斬新な試みもされているようです。
軽井沢や松本をはじめとして、長野県はわりと音楽が盛んな
土地ですが、和楽器のコンサートは少ないですよね…。
夏の終わりのちょっとした寂しさは、和楽器の奏でる音色の
切なさに通じるものがある気もしました。
サインは、せっかく書いてくださったところが潰れてしまったのは
ショックですが、これを見るたび道山さんとのやり取りを思い出す
ことでしょうね。
投稿: りみっと | 2008年8月24日 (日) 21時53分