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2008年11月10日 (月)

クラシックミステリー『名曲探偵アマデウス』事件ファイル♯13ドヴォルザーク「交響曲第9番“新世界から”」~オフィスを揺るがす郷愁のメロディ~

Amadeus今回は、ワールドワイドでゴーイングマイウェイな事件だそうです(笑)。


クラシックミステリー『名曲探偵アマデウス』
事件ファイル♯13
ドヴォルザーク「交響曲第9番“新世界から”」~オフィスを揺るがす郷愁のメロディ~

外国人社員がみんな、ある音楽を聴きはじめたんです。そしたら突然、妙なことを言い始めて…。どうしてあんな(帰りたくなるような)曲を聴いて、彼らが「イッショニガンバリマショウ」なんて言い出したのか、それを知りたいんです!

ドボルザークが当時、「新世界」と呼ばれていたアメリカ滞在中に書いた傑作は、郷愁を誘う世界的人気曲となりました。そこには、ドボルザークの故郷チェコへの強い郷愁がこめられていたのです。日本で“家路”は下帰校時の音楽としても知られています。果たして、この曲にはどんな謎が秘められているのか、名曲探偵がその謎に挑みます。

依頼人は、ある老舗の日本茶メーカーに勤めるサラリーマン。しかし老舗と自慢できたのは1年前までのことでヨーロッパの飲料メーカーに買収されてからは単なる飲料メーカーだ、と嘆いています。
大挙して訪れた外国人社員と日本人社員は仕事のやり方やら何やらで度々衝突し、仕事への意欲をなくした依頼人は会社をやめて田舎へ帰ろうか…と思いつめている様子。
しかし外国人社員たちが「イッショニガンバリマショウ」と言い始めたきっかけが最近聴き始めたというクラシックの曲にあるらしいと知り、そこにどんな意味があるのか教えて欲しい、と天出を訪ねてきたのでした。

その曲とは、ドボルザーク作曲、交響曲第9番「新世界から」。第2楽章に登場するおなじみの旋律。その郷愁を誘う旋律はヨナ(この曲でいうとファ♯とドの音)抜き音階で出来ていて、これは民族音楽に良く見られる、素朴で親しみやすいもの。この「名曲探偵」で取り上げられた中だけでもムソルグスキーの「展覧会の絵」とかシベリウスの「フィンランディア」とか…ヨナ抜き音階の用いられたものが出てきましたが、世界のいたるところで別々に生まれたはずのそれぞれの民族音楽がことごとくヨナ抜き音階で出来ている、というのはとても不思議だなぁと思います。
「私たちに郷愁を覚えさせて会社から追い出そうとしているのか!」といきり立つ依頼人ですが…どうもそうではないようで、大胆な休符の使い方に注目した天出によって、ひとつの可能性が示されます。イングリッシュ・ホルンによるソロのあと、弦楽器が引き継いだところで、四分休符に付けられたフェルマータ(適度な長さに伸ばして演奏しなさい、という指示記号)。わざと音楽的な時間の流れをせきとめ、思いをかみしめる濃密な時間を作り出しています。そしてそれは聴くものによって全く違う聴こえ方になるということから…ひとつのことでも見方や感じ方の違いから新しいものが生まれてくるという解釈を天出はしてみせます。

そんな解釈を聞いた依頼人は外国人社員たちが「緑茶コーヒー」という新製品の企画について話します。それを聞いた天出は、ドボルザークがアメリカに渡ったことで触れた黒人霊歌をチェコの民族音楽に多く見られるリズムを合わせた旋律が登場することを示し、ここから外国人社員たちが、一見無茶苦茶と思える新製品に、どこか勝算を持っているのでは…と天出は推測するのでした。

そして…第4楽章。ここで新しく登場した盛大な主題とともに、それまでに登場した各楽章の主題を次々に登場させ融合させています。一見異なる、個性の強い主題が大きな集合体になっていきます。これは、各楽章を融合させただけではなく、ドボルザークの故郷であるチェコの音楽の要素、アメリカに渡ったことで触れることになったアメリカのネイティブアメリカンや黒人文化のなかで育まれた音楽の要素、そしてドボルザークが学んだヨーロッパ(主にドイツ)の音楽の要素が融合させているわけで…「もしアメリカを見ていなかったら書けなかった」という晩年の言葉どおり、新しい世界を見て、それを受け入れていくことの大きな意味を感じさせられます。

そんな天出の推理を聞いて、異国の地で歯を食いしばってきたのは外国人社員たちのほうで、そんな彼らとともに新しい製品の開発に力を注ぐ決意をして、依頼人は去っていきます。
そしてその後…完成した「緑茶コーヒー」が天出のもとに送られてきます。そのお味は…「新世界の味」だそうで…どうやら新鮮な、というか微妙な…味だったようです(笑)。




天出臼夫…筧利夫
響カノン…黒川芽以
富士山太郎…山崎樹範

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