クラシックミステリー『名曲探偵アマデウス』事件ファイル♯21チャイコフスキー「くるみ割り人形」~クリスマスに届いた呪いの人形~
今回は、クリスマスの奇跡に満ちた、踊りだしたくなるような事件(?)。
クラシックミステリー『名曲探偵アマデウス』
事件ファイル♯21
チャイコフスキー「くるみ割り人形」~クリスマスに届いた呪いの人形~
前の会社の上司が送ってきたくるみ割り人形。どうしても、この人形にこめられたメッセージを知りたいんです!
「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」は、バレエ音楽に革命を起こしたといわれるチャイコフスキーの三大バレエ曲と呼ばれ、バレエ界の最高傑作として名を残しています。そのなかでも「くるみ割り人形」は、チャイコフスキーが晩年の、熟練の技と円熟した感性が際立つ名曲です。
バレエの初演は1892年12月。チャイコフスキー51歳のときでした。チャイコフスキーはこのバレエ曲から音楽演奏会用に8曲抜粋し、組曲「くるみ割り人形」として発表。バレエの舞台を離れて音楽の演奏会でも親しまれてきました。
果たしてそんな人気バレエ曲から、依頼人は何を聞き取るべきなのか?名曲探偵が「くるみ割り人形」の謎に挑みます。
クリスマスを前に、ツリーの飾り付けをする天出にクリスマスプレゼントに欲しいもののリストを渡すカノン。そんな探偵事務所に、最近スーパーカーのデザイナーからベビーカーの設計家に転職した依頼人がやってきます。なんでも、転職する際に依頼人を引き止めた、彼の師匠にもあたる元上司から送られてきたクリスマスプレゼントの意味を知りたい、というのです。そのプレゼントとは“くるみ割り人形”。人形についているオルゴールから流れるのはチャイコフスキーによるバレエ音楽「くるみ割り人形」の“こんぺいとうの踊り”。くるみを割ると音楽が止まる仕組み。
上司と仲たがいをして分かれてしまったことから依頼人は、この人形には呪いがかけられているのでは…と怯えていますが…。
バレエ音楽を踊りの伴奏、といった性格のものから交響曲のような本格的なものにしようとして「白鳥の湖」を作曲したチャイコフスキーは、その音楽の完成度が高すぎることを理由に不評を買い、初演は失敗に終ってしまいます。そんな失敗を乗り越え、振り付け師からの非常に細かい注文によって付けられた制約のなかで、音楽で情景を表現すること(“雪のワルツ”での鉄琴やフルート、少年少女合唱を用いて雪の降る様子を表現)や、メロディの親しみやすさを工夫したり、新しい楽器を取り入れる試み(“こんぺいとうの踊り”でのチェレスタ)などで、長く後世まで親しまれる音楽を生み出しました。
それはそうと…“こんぺいとうの踊り”として日本で知られる曲、原題をそのまま訳すと“ドラジェの精の踊り”というのだそう。ドラジェは、アーモンドに砂糖をコーティングしたお菓子で、ヨーロッパでは結婚式や誕生日などのお祝い用のお菓子として親しまれていましたが、日本ではあまりなじみのないものだったために、日本語では“こんぺいとう”と訳されたようですね。
そんなわけで…失敗をばねに、新しい試みに挑戦しながら人々に親しまれる名曲となったチャイコフスキーの「くるみ割り人形」から天出は、今まで培ったものを生かしながら新しい発想、想像力を持って新しい世界…ベビーカーの設計に励んで欲しい、という依頼人を思う元上司の思い、そしてもちろん、依頼人のことを恨んだりなどしていない、ということを推理するのでした。
そして後日…依頼人から、元上司と仲直りし今は新しいベビーカーを作るべく頑張っているという手紙が天出とカノンのもとに届きます。手紙にあるように、クリスマスの奇跡がふたりにも訪れるのでしょうか…?
天出臼夫…筧利夫
響カノン…黒川芽以
隼吾郎…篠井英介
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