2009年、映画館で観る4作目はこちら。
好きな俳優さんのひとりである、佐藤浩市さんということで…楽しみにしてました。
映画『誰も守ってくれない』
幼い姉妹の殺害事件で未成年の容疑者が逮捕され、容疑者の家族はマスコミや世間の目を避けるため警察の保護下に置かれることに。刑事・勝浦は容疑者の妹・沙織の担当を任され、ホテルや自宅アパート、友人のマンションを転々とするものの、マスコミの執拗な追跡に行き場を無くした勝浦は、かつて担当した事件の被害者・本庄が夫婦で営む伊豆のペンションに身を寄せるのですが、そこへ沙織のボーイフレンド・達郎が駆けつけ…。
志田未来さん演じる沙織と、佐藤浩市さん演じる勝浦を中心に描かれるので、容疑者(正確には被疑者)の家族の側から描かれるお話で…冒頭の、いつもと変わらない日常がゆっくりと壊れていく様子を描いた部分が、この先を想像するととても恐ろしく感じました。
それにしても…殺人はもちろん許せない犯罪ですが、その家族までもが同じ罪を犯したかのように非難されるという…それがどうなのかなぁと思います。普段ニュースを見ているときに感じていた疑問とか…そんなことを考えながら観ていたので、こう…ジーンと来るようなシーンもたくさんありましたが、なんだか…泣く、というところまでは行きませんでした。
私が思ったのは、マスコミで人に伝える仕事をしている人はきっと、世間一般の人よりも“知りたい”という欲求や、大きな事件に対しての不謹慎な言い方をすれば高揚感のようなものを強く感じる人が多いんじゃないかということ。それから、自分の“知りたい”欲求を、世間もそうだと思い込んでいるか、仕事を全うするために自分のなかでそのようにすり替えをしているんじゃないかなぁということ。少なくとも私は、マスコミの人が“知る権利”とか言うたびに違和感を覚えています。つまり、こんな感じ。「世間が知りたがっている?本当にそうなの?少なくとも私は事件のことや犯人自身のことはともかく、それ以上のことまでそんなに知りたくないんだけど…」。
それに…もっと始末が悪いことは、ネットの発達。もちろん便利なツールで、私もずいぶんお世話になってはいますが、作品で描かれる悪意の塊りに…ずっとなんだかムカムカしてました。本当に「容疑者の家族も同罪」と思っているというよりは、新しい玩具を見つけたような、すごく性質(たち)の悪い幼稚な発想で暴走している感じ。
ネットでは本名を書かなくても発言できるのがいいところでもありますが、悪質な…というか法に触れるようなことをすれば、そしてしかるべきところがその気になれば、身元なんて簡単に突き止められてしまうということをもっと知るべきだし、悪意ない発言だとしても気をつけないといけないですね…。
そんな非常に重いテーマを考えさせられる作品でしたが…、沙織と勝浦がマスコミや世間の目を避けて逃避行をするなかでぶつかりながら、少しずつ心が寄り添っていくような終盤には少し救いがあったかなぁと思いました。今の15歳って…10年前、20年前よりもずっとたくさんの情報に囲まれて、もう大人になっているような印象もありますが、そうでもないんじゃないかな、というようなことも考えさせられたのは、私だったらこのときに気持ちが変化するだろうな…と思う部分でもあまり変わらなかったりしたところがあったから。そして沙織と同じ年頃の娘を持つ勝浦も、どう接したらいいのか…と戸惑っている様子が伺えて、気がつけば勝浦の戸惑いのほうが共感できてしまう自分は、やっぱり少し(いえ、だいぶ?)歳をとったんだなぁなんて思ったり(苦笑)。
また、私がいいなぁと思ったのは、佐藤さん演じる勝浦の後輩(部下かも?)の刑事・三島を演じる松田龍平さん。ちょっと口の悪いところや思慮に欠ける部分があったりして、今時の若者風ですが、勝浦との絶妙なコンビネーションが飽きさせず、また淡々としたなかに見せる情に篤い部分というか、勝浦を慕う様子が良かったです。
あと…ちょっと予想外だったのは、佐々木蔵之介さん演じる新聞記者・梅本。マスコミの加熱ぶりを追いかけるようにネット上の書き込みが暴走する様子を知った梅本が、後半そこにもう少し絡んでくるかなぁと思いましたが…。
そして…勝浦たちが身を寄せたペンションのオーナー夫婦。柳葉さん演じる本庄とその奥さんである、石田ゆり子さん演じる久美子。殺人犯の家族を泊めることになった複雑な心境が垣間見られる微妙な表情や台詞の間に、緊張感や胸に迫るものを感じさせられました。
(キャスト)佐藤浩市・志田未来・松田龍平・佐野史郎・木村佳乃・柳葉敏郎・石田ゆり子・佐々木蔵之介・東貴博・津田寛治・冨浦智嗣 ほか
(公式HP)http://www.dare-mamo.jp/
今夜は、これも見ました↓
スペシャルドラマ『誰も守れない』
映画『誰も守ってくれない』の4ヶ月前の物語。
3年前に担当した事件のトラウマを抱える勝浦は、犯人の所持してるナイフを見て動けなくなった勝浦は危ないところを三島に助けられます。勝浦がトラウマに苦しみ、それが原因で妻や娘とも別居していることを知った三島に連れて行かれた病院で精神科医の令子のカウンセリングを受けることに。
そんなある日、令子の父親が傷害事件の被害者となり、逃亡している犯人が家族にも危害を及ぼす恐れがあるということで、勝浦たちは令子の保護を担当することになり…。
映画の4ヶ月前から始まって、最後が映画と重なっています。…映画の“加害者の家族の保護”に対し、こちらは“被害者の家族の保護”。被害者の側なのにこれだけマスコミに追われ、でたらめを報道される…。これが加害者の側ともなれば、その環境はさらに過酷なものになるのは、避けられないのでしょうか…。被害者側であればそれを主張したり、また「少しそっとして置いてください」というのも結構通りそうですが、加害者側となると…なかなか厳しいものがありそうです。
映画ではほぼ全編シリアスですが…ドラマのほうは勝浦と三島のやり取りが少し砕けているというか、キャラクターを描くのにちょっとだけ遊びの部分があって、これはこれで面白かったです。そして…松田龍平さん演じる三島が後半、薬物の禁断症状に苦しむあたりは、苦しくもあり、その演技の鬼気迫る様子には驚かされました。それに…映画の方での、勝浦に対して三島がすごく慕っている様子の前段階にそういうことがあったんだなぁと…納得する部分もありました。
また、スペシャルドラマらしく、ちょっとしたシーンで「おっ?」というようなキャスティングでも楽しませてもらいました。本当は…これを見てから映画に行ったほうが良かったのかなぁなんてことも思いましたが…。
(キャスト)佐藤浩市・松田龍平・木村佳乃・佐野史郎・羽場裕一・堀部圭亮・森田芳光・大杉蓮・藤本美貴・成宮寛貴・山本圭 ほか
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