クラシックミステリー『名曲探偵アマデウス』事件ファイル♯23ベートーヴェン「交響曲第9番」(合唱つき)~たそがれの街の救世主~
今回は、八百屋さんもお肉屋さんも、みんな集まれ、一緒に歌いましょう、みたいな事件…だそうな。
クラシックミステリー『名曲探偵アマデウス』
事件ファイル♯23
ベートーヴェン『交響曲第9番』(合唱つき)~たそがれの街の救世主~
コーラス隊を作って、大演奏会を開くのよ。
そうして、商店街をもう一度盛り上げなきゃ。
探偵さん!助けてちょうだい!
ベートーベンの最後の交響曲にしてクラシック音楽の集大成、最高傑作といわれる名曲。それが『交響曲第9番』です。
日本では「第九」として親しまれ、年の瀬に流れる風物詩ともなっています。
なぜこ曲が最高傑作と言われるのか、そして4楽章からなるこの声楽付の交響曲の真髄とは何か、ベートーベンはこの歌にどんな思いをこめたのか…。そして知られざる意外な「第九誕生秘話」とは。
名曲探偵が「第九」の秘密に迫ります。
所長のおやつがバナナとは…さすがお猿さん系(失礼)。
…それはともかく。歳末売り出しに向けてさびれた商店街をまとめるための「第九」演奏会を成功させたい八百屋のおばちゃんの依頼を受けた天出。
この曲、ベートーヴェンの交響曲の中でもひときわ演奏時間は長いし、合唱もあって…大がかりですよね…。よく知られた“喜びの歌”にたどり着くまで50分もかかるというと、確かに「えー?」と言いたくなるかも。
ですが…第1楽章の混沌とした世界に差す光や第2楽章の力強さ、第3楽章で表される平穏と幸福、そして第4楽章の合唱が始まる前に感じる恐怖や絶望…。その全てを織り込みながら、ベートーヴェンはこの曲で、荒廃した世の中を「人類愛」によってひとつにしよう、というシラーの詩を用いて訴えたかったのでしょう。
この合唱の部分が、誰でも歌うことが出来るような、滑らかな旋律と安定したリズムを持っているのも、たくさんの人がこれを歌うことによって心がひとつになれるように、という意味があるのかもしれません。
このシラーの詩やベートーヴェンの交響曲が作られた頃も、今も、世界には争いが絶えませんが…この曲に謳われるように、人々がひとつになれたらいいのに、と思わずにはいられません。
天出臼夫…筧利夫
響カノン…黒川芽以
遠藤豆子…鷲尾真知子
おまけ
シラー『喜びに寄せて』(冒頭)
※「第九 歓喜のカンタービレ」より(訳・中島悠爾)
喜びよ、神々の麗しき火花、
楽園の乙女よ、
われら 燃える胸 おどらせて
女神よ、汝の園に 足ふみ入れる。
時のなかれ 厳しく分け隔つものを、
汝の奇しき力は再び結ぶ。
汝の優しき翼の覆うところ、
すべての者は兄弟となる
(合唱)
抱き合おう!千万の人々よ!
この口づけを全世界に!
兄弟よ―星辰(せいしん)のかなたに
必ずや優しき父 住みたもう。
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