クラシックミステリー『名曲探偵アマデウス』事件ファイル♯25マーラー「交響曲第5番」~謎の新薬とスパイの涙~
今回は…ちょっと危ない橋を渡るかもしれない産業スパイ大作戦な事件、とか。
クラシックミステリー『名曲探偵アマデウス』
事件ファイル♯25
マーラー「交響曲第5番」~謎の新薬とスパイの涙~
人生の転機を迎えたマーラーが、20世紀初頭に書いたのが交響曲第5番。
5つの楽章からなるこの名曲は、ヴィスコンティの『ベニスに死す』のBGMに、第4楽章の「アダージェット」を使ったことによって、その名を広く世に知らしめることになったのです。
ウィーン宮廷歌劇場の総監督であり、ウィーン・フィルの首席指揮者でもあったマーラーが、激務に倒れながらもアルマを助手に書き上げたこの曲に、どんな秘密が隠されているのか…。
お金がなくて、3時のおやつに1個のみかんを二人でわけあう天出とカノン。そこへやってきたのはピザ屋を装う産業スパイの男・鈴木ひろし(仮名)。彼は製薬会社の研究所に潜入し、完成したばかりの新薬と、一緒にあったディスクを持ち出しましたがそのディスクは新薬の情報の入ったデータファイルかと思いきや、音楽の入ったCD。そこに入っていたマーラーの「交響曲第5番」から天出は、新薬についての謎を解き明かすことに。
マーラーは「交響曲とは、あらゆる技法を用いて自分と向き合うもの」と考えていたのだそう。おりしも、マーラーの活躍した19世紀末のウィーンではフロイトが登場し、自分ではコントロールの利かない、無意識や深層心理といったものに興味が集まるようになった時期でした。人の心というのは、たくさんの矛盾を抱えていて支離滅裂で混沌としたものであると…それを考えるとき、マーラーが自らと向き合うなかで、その一筋縄でいかない部分が、この曲の、各楽章の統一感のなさや、第4楽章のアダージェットの異質さに現れている…のかもしれません。
そして…アダージェットが、マーラーが妻に向けた愛のメッセージと言われているところから新薬が「愛の媚薬」では、と言い出した依頼人の言葉を聞いたカノンは、ふたりの隙をついてその新薬を口にしてしまいます。
しかしその推理が、便秘薬→安楽死の薬→精神安定剤と変化するたびに、様子のおかしくなるカノンには笑ってしまいます。まぁ…結局その薬は水虫の薬だと判明するわけですけども…(苦笑)。
天出臼夫…筧利夫
響カノン…黒川芽以
鈴木ひろし…野間口徹
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