『マクベス』in世田谷パブリックシアター
久々にシェイクスピアを観てきました。
『マクベス』
2010年3月12日(金)19:00開演
世田谷パブリックシアターにて
出演:野村萬斎/秋山菜津子/高田恵篤/福士恵二/小林桂太
舞台は1040年のスコットランド。ノルウェー王と手を結んで国を乱していた反乱軍を、マクベスとバンクォーの二人の将軍が鎮圧。二人は帰還中、三人の魔女と出会い、マクベスには、新しい領地が与えられ、のちには王となるとの予言をし、バンクォーは王を生み出す人物だと予言します。
ひとつ目の予言が実現したことでマクベスは、もうひとつの王となる予言も叶うのではないかと思い始めますが、国王・ダンカンは長男マルカムを次の国王と定めたことを明らかにします。
王への野望を抱き始めたマクベス。そんな夫の思いを知るマクベス夫人は、自分たちの城に泊まりに来るといダンカンを暗殺しようと夫に持ちかけ…。
直前に『マクベス』の原作を読んでいて、以前読んだときよりも面白さを感じていたところだったので、ことのほか面白く観ることができた気がします。
萬斎さん演じるマクベスが、今まで思いもしなかった王の座に、魔女たちの言葉によって執着するようになり、そのために手を汚し、王を生み出すと予言されたバンクォーも排除しようとていくわけですが…マクベスの敵は他人ではなくて、自分の心のなかに生まれた野望だったり嫉妬だったり、恐れだったり…そういう感情の数々だったのだろうな…と思います。
また、そんな感情に押し流されそうになりながらも、王の暗殺をためらうマクベスに発破をかけるのは、秋山菜津子さん演じるマクベス夫人。秋山さんは、初めて見たのが一昨年萬斎さんが出てらした『わが魂は輝く水なり』の巴御前でしたが、その後も松本で上演された『ピランデッロのヘンリー四世』でも見る機会があり…そのたびにカッコいい!と思いましたが、今回も、そのカッコよさ、人をひきつける魅力にあふれていて、やっぱり良いなぁ♪と思いました。そして、とことん強いのかと思いきや、夫人の方も自分の犯した悪事ゆえ、夢遊病になってしまい、最後は…という結末。当たり前のことですが、強いばかりの人間も、弱いばかりの人間も、正しいことしかしない人間も、悪いことしかしない人間もいないんだな…ということを、あらためて考えさせられました。
あとは、高田さん、福士さん、小林さんの3人が、最初に魔女を演じていたかと思ったら、その時々でバンクォーになったり、ダンカンになったり、マルカムになったり、マクダフになったり、フリーアンスになったり、また魔女になったり…、最初、こういう趣向だと知って、混乱しないかなぁ?とちょっとだけ心配しましたが、もう全然。かえって、登場する人が少ないからか、途中の部分を原作から大幅にカットしているからか…、結構分かりやすかった気がします。
久々に観たシェイクスピア劇でしたが、萬斎さん風味のお芝居ということもあり、新しい発見や、あらためて考えさせられる部分もあり…充実した時間になりました。
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