SKF〈Play meets Music〉ストラヴィンスキー:「兵士の物語」inまつもと市民芸術館実験劇場
サイトウキネンフェスティバルの公演へ。
2011サイトウ・キネン・フェスティバル松本
〈Play meets Music〉ストラヴィンスキー:「兵士の物語」
2011年8月26日(金)19:00開演
まつもと市民芸術館実験劇場にて
(出演)ジョセフ:石丸幹二/語り手:福井貴一/プリンセス:麻生花帆/悪魔:串田和美
(演奏)ヴァイオリン:郷古廉/コントラバス:谷口拓史/クラリネット:吉田誠/ファゴット:星野美香/トランペット:只友佑季/トロンボーン:今村岳志/パーカッション:中谷孝哉
(物語)ロシア兵のジョセフが故郷を目指す途中、持っていた袋から取り出したヴァイオリンを弾き始めたところに、老人の姿に化けた悪魔が現れ、ジョセフは悪魔に丸め込まれて、未来がわかる本とヴァイオリンを交換してしまい…。
これまで全くふれたことのなかった作品なので、何か予習らしいものをしようか…と思ったのですが、まぁ思っただけでほぼ何もせず(苦笑)。そのわりにはお話についていかれないということも特になく、分かりやすかったです。音楽を聴くのもお芝居を観るのも大好きなので、とても楽しい時間でした。
ストラヴィンスキーというと、「春の祭典」とか…まぁちゃんと聴いたことがあるのかと言われるとちょっとあやしいところもありますが、そういうちょっと綺麗なだけじゃない感じの音楽の人、というイメージがあって。なので、音楽の面でなじめるかどうか…という不安もありましたが、なんだか結構気持ちよく聴いてしまいましたね。
そしてやっぱり、役者さんの演じる姿を目にするのは特別な楽しさがあります。それがたとえ後ろから数えた方が早いくらいの席でも。悪魔役の串田さんは、まぁ1年に1度くらいは何かの機会でお芝居していらっしゃる姿などを拝見することがあるのですが、コミカルな面もありつつ恐ろしさもありつつ…で今回も楽しませていただきました。兵士役の石丸さんと語り手役の福井さんはそれぞれにかっこよく、プリンセス役の麻生さんも美しかったし、目にも楽しかったです。
そして、とても心を揺さぶるというか、考えさせられる言葉もありました。「昔持っていたものに今持っているもとを足そうとしてはいけない、今の自分と昔の自分両方を持つことはできない。選ぶことを学びなさい」…というような内容でしたが、人は、自分も周りの人も、その取り巻く環境も変わり続けるのだから、その両方を持つことにはかならず矛盾が生じる、ということかなぁと思ったり、人間の欲深さみたいなものを諭しているのかなぁ…なんて思ったりしました。
楽器を演奏している人とお芝居をしている人が入り混じっている感じとか、文字で書いた「本」と「ヴァイオリン」を兵士と悪魔が交換するところとか、舞台奥に文字や映像を映し出したり…なかなか面白い演出も多く、見ていて飽きないなぁと思ったのですが、最後に、千秋楽の幕が下りたので普通にネタバレで書きますが、いちばん奥の壁がなくなり、その向こうに主ホールのステージと客席が現れたのはちょっとびっくりでした。初めて実験劇場でお芝居を観たのは今から5年前になりますが、その時に「実験劇場ってどこにあるんだ!?」と芸術館のHPで調べたとき、主ホールと背中合わせになっているというのを知ったのですが、こうして実際に目にしてみるととても新鮮で面白かったです。また、松本での最後の上演ということもあってか、カーテンコールが長めで、最後に「王の行進」が演奏されて贅沢な時間でした。
芸術館では主ホールでのオペラ公演も行われているので、1日ごとに舞台装置を組んだり解体したり…を繰り返しているそうで、そんな大変な作業を経て上演されていると思うと、こうして楽しい時間をもらえることがとても貴重なことなんだなぁと思います。
さて…この週末はオーケストラコンサートへも出かける予定なので、そちらも楽しみですが、その反面、オペラを指揮される予定だった小澤征爾さんが23日と25日の公演を肺炎のためお休みされたと知り、夏の終わりが早い信州ですが、ここ1週間ほどはとくに気温差が大きく、そういう部分も影響されたのかな…と心配になりました。くれぐれも無理はされずお大事にして頂きたいと思います。
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