2月文楽公演(国立劇場小劇場)
昨年末に続き、文楽観賞へ。
2月文楽公演
国立劇場小劇場にて
2013年2月22日(金)14:30開演※第二部
小鍛冶(こかじ)
京に住む小鍛冶宗近が天皇から剣を作るよう命じられますが、名人である宗近と並ぶほどの力量を持つ相槌をうつ者が必要なので、それが見つかるよう稲荷明神に祈願すると、宗近の前にある老人が現れて…というお話。老人は「祭壇を飾って待てば力を貸す」というのですが、宗近がその通りにすると稲荷明神が現れ、宗近の相槌となって鉄を打ち始めます。かなり端折りますが、鉄を打つ音と音楽が合わさって心地よく、剣が出来上がった後、稲荷明神は雲に飛び乗って帰っていく…のですが、そこで舞台じゅうを舞うような感じで目を奪われました。
夕霧 伊左衛門 曲輪(くるわ)ぶんしょう 吉田屋の段
正月を迎える準備の餅つきで賑わう吉田屋。そこへ病身の夕霧太夫がやってきて店に入ります。今日は四国のお侍が是非に夕霧をというので主の喜左衛門が呼んだのです。すると店の前に粗末な着物の男がやってきて横柄な態度で喜左衛門を呼びます。その男は、夕霧とは恋仲で子供までもうけいている伊左衛門。派手に遊び借財を抱えたため家から勘当されてしまいました。夕霧が病に倒れたのも伊左衛門と会えなくなってしまったからなのです…というのが大体、前半辺りのお話。
この後、喜左衛門の心遣いで座敷に通された伊左衛門ですが、夕霧が別の客のお座敷に上がっていると知って拗ねてしまい、かけつけた夕霧につれない態度で接します。そんな伊左衛門を一生懸命宥めるという展開なのですが、実は私としては冒頭の餅つきの場面とか、その後、夕霧と伊左衛門が現れるまでの間にやってくる太神楽が芸を見せたりする楽しげな様子とか音楽や語りや歌が楽しい感じだけでも見て良かったなあと思えた演目で、夕霧の華やかな衣装も美しかったです。
関取千両幟 猪名川内より相撲場の段
人気力士の猪名川は、自分を贔屓にしてくれている客が太夫を身請けするための金を代わりに工面しようとしていましたが、今日中に金が用意できないと他の客に太夫を渡さなければならなくなりました。その他の客というのは、同じく力士の鉄ヶ嶽でした。身請けをやめてほしいと鉄ヶ嶽に頼み込む猪名川。そんなふたりのもとに今日の取組が猪名川対鉄ヶ嶽と分かり、初日に黒星がついて後がない鉄ヶ嶽は「今日の取組でわざと負けてくれたら身請けをやめる」と八百長を持ちかける…というお話。この後、取組にかけられた懸賞金が身請けにかかる金額と一緒だったので攻めに転じて鉄ヶ嶽を破る猪名川ですが、じつはその金は、妻のおとわが身売りして作った金だったという最後まで切ないというかやるせないお話。で、個人的に今回いちばんツボだったのは、猪名川と鉄ヶ嶽の取組の時、土俵入りする鉄ヶ嶽の動きが、先日引退した高見盛関を真似ていたところ。歌舞伎や落語でもタイムリーな人や物事が登場することがありますが、文楽もこういうのありなんだなあと思ったら、なんだか楽しくなりました。
さて。2度目の文楽鑑賞を終えて、楽しいと思うところも「?」と思うところもありますが、次も機会があれば観に行ってみようと思います。
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