「敦-山月記・名人伝-」in世田谷パブリックシアター
とてもひさしぶりの再演に出かけてきました。
「敦-山月記・名人伝-」
2015年6月20日(土)13:00より
世田谷パブリックシアターにて
(原作)中島敦
(構成・演出)野村萬斎
(出演)
「山月記」李徴:野村萬斎/袁傪:石田幸雄
「名人伝」紀昌:野村萬斎/甘蠅・老紀昌/野村万作
紀昌の妻・飛衛・主人/石田幸雄
都人士:深田愽治/高野和憲/月崎晴夫
敦:野村萬斎/敦たち:深田愽治/高野和憲/月崎晴夫
大鼓:亀井広忠/尺八:藤原道山
この作品、初演が2005年、その次が2006年ということで、初演からはちょうど10年が経っての本当に久しぶりの再演。
「山月記」は世に顧みられない日々の末に虎に転じた詩人・李徴のお話。前回までは李徴を万作さんが演じていましたが、今回は萬斎さん。万作さんの演じられていた李徴はとても哀しく切ない印象がありましたが、萬斎さんの方は狂気の感じられる李徴。同じ本をもとに演じているのに人が代わるだけでこんなに違うというのはとても面白いです。
「名人伝」は弓の名人となるためその道を究めた男・紀昌のお話。一つの道を究めるためにここまでやるか!というところは正気の沙汰ではないという感じもしますが、なぜかとてもユーモラスに感じられます。とくに、機織りの音や矢を射る音などの効果音に大鼓と尺八の音を組み合わせたりスクリーンに映し出されたものなど文字を使った演出、目にも耳にも楽しくて、わくわくさせてくれます。
この作品に出会う数年前に、映画をきっかけに萬斎さんを知って、萬斎さんの出演され狂言やそのほかのお芝居を観に行くようになっていた私。そんな流れのなかで出会ったこの「敦」という作品で、舞台上で尺八を演奏する道山さんに出会いました。
そのおかげで出会えた音楽、お芝居、そのほかにもたくさんの芸術、それをぐるっとひとまわりして同じ場所に戻ってきて、同じ場所だけど以前よりはるかにたくさん、心動かされるものを、この2時間のお芝居から受け取ることができて、このお芝居を構成するすべてによって、どれ一つが欠けても成立しないものを感じ、ラスト、照明が落ちていくなかで響く道山さんの尺八の音色がドキドキするほど美しく、闇に満たされ音もすべて消えたなか、心がざわざわする様な静かな感動を噛みしめました。
本当に素晴らしい時間を過ごすことができました。
おまけ。
今回の公演パンフレットは語句解説つき上演台本がメインでした。
予習で初演の時のDVDを見ながら原作小説を読みましたが、音で聴くだけだと理解が難しそうな単語がたくさん出てくるので、上演中に読むのは無理ですが、前もって確認しておくとか後から読み返すとかできるので、とても助かります。
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