愛の挨拶
音楽でつながる人の絆。
本岡類
「愛の挨拶」
妻を突然亡くした主人公の仁科が、妻のヴァイオリンと共演するため通っていたピアノ教室の面々とともに、行きがかり上関わることになったビルマ(ミャンマー)人家族の窮状を救うために動きつつ、妻の死や生前の姿を知ろうとしていく、というお話。
大人が通う音楽教室がひとつの舞台となっているので、主人公の仁科はもちろん、様々な理由でそこに集まる人々のエピソードそれぞれに興味を惹かれます。なかでも、仁科たちを教える美佐先生の元教え子の男の子のエピソードにぐっときました。人は、いつかこの世からいなくなる時がくるけれど、その人のことを覚えている人がいれば、別の形でこの世に存在し続けるのかもしれません。
途中、話が広がって行くのかなあと思ったエピソードがそこだけで終わってる、みたいなところがいくつかあったので、そこは少し残念な気もしましたが、最終的には、仁科が妻の遺したものを知ることができ、良いラストになっていたと思います。
コメント