沈黙(小説)
映画を観に行く前に。
遠藤周作
「沈黙」
かつての恩師フェレイラが日本で拷問を受けた末に棄教したと知ったロドリゴたち若い司祭が日本へ。そこで知った日本でのキリスト教、そしてフェレイラ、さらにロドリゴたちのたどった道とは…というお話。
日本の信徒たちを救いたいという思い、しかし、自分の存在が彼らの命を脅かし、自分の桔梗によって命が助かるという究極の選択を迫られる状況。そして死や苦痛への恐怖。
そんななかで、信仰、神の存在について考え苦しみ抜いた末にロドリゴがたどり着いた結論。他の人にとって正しいかどうかよりは、本人にとってそれが腑に落ちるものなのどうかが、いちばん大事なことだと思います。
神や仏は、自分の外のどこかにいるのではなく、自分のなかにいるものなのかもしれません。
日本でのこの時代のキリスト教の布教が上手く行かなかったのは、島国ゆえに外からくるものへの興味とともに不安や恐怖もあったせいなのかなあとか、言葉の齟齬に加えて日本人やその文化が、新しくやってきた文化を自分の文化に取り込むことに長けていたせいもあったのかなあと考えたりしました。
映画が公開になるということで、久しぶりに読んだこのお話。暗くて辛くて哀しいけど心に残るものだったという記憶くらいしかなかったので、ある意味新鮮に、そして以前読んだ時よりは確実にズシンとくるものを感じることができました。
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