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2018年1月10日 (水)

夜想曲集

Yasoukyoku

やるせなく、切なく、哀しく、滑稽で。

カズオ・イシグロ
「夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」

音楽と夕暮れがテーマの短編集。
「老歌手」は、かつての大スターである年老いた歌手が妻に歌のプレゼントをする…というところに協力することになったギタリストが主人公のお話。こう書くととても素敵なお話ではありますが、それだけで済む訳もなく、そこに場面に立ち会ってしまった人の気まずさと、老歌手の悲哀が胸に迫ります。
「降っても晴れても」では、学生時代の友人夫妻を訪ねることになったしがない英語教師が主人公のお話、学生時代のいい時間とずっと同じではいられないやるせなさ。主人公も夫婦もどこかいびつ、でも主人公の一生懸命さが、一生懸命だからこそ滑稽で、愛おしくも切ないです。
「モールバンヒルズ」は、音楽家を目指しつつも行き詰まり感のある主人公が、姉のもとに居候する日々のお話。姉と主人公である弟が、互いにそれぞれの思惑で相手をあてにして思い通りにならないことにイライラする感じ…複雑だけど読んでいる方は双方に「ちょっとそれはないんじゃない?」という気もちになります。そんな日々のなかで主人公が出会った女性ゾーニャの印象が、登場した時と終盤ではかなり変化していくところが好きでした。
表題作の「夜想曲」は、サックス奏者の主人公が、仕事での成功と離れていった妻を取り戻したいがために取った行動や、そのなかで出会ったある女性との数日の出来事。突拍子もない展開ではありますが、その色々なことが次々に起こる感じはわりと好きでした。
「チェリスト」は、偶然出会った女性から演奏の指導を受けることになった若いチェリストのお話。この5つのお話のなかでは、いちばん情景を心のなかに思い描きやすく読みやすく感じました。ただ、この女性のこういう形での“大家”というのは、なかなか理解が難しいなあと感じました。
この短編集は、音楽と夕暮れ(あるいは人生の黄昏時)が登場し、ベルリンの壁崩壊から9.11(アメリカ同時多発テロ)までという時代背景という共通のテーマに沿って書かれたそうです。サブタイトルになっているひとつめは、まあ分かりやすいですが、ふたつめは、そういわれてみれば確かにそうだなあと。時代が変化して文化の違う人々が交流する様子も描かれていたりするので、そういうところにもその時代背景が現れているなあと感じました。
以前「私を離さないで」を読んだカズオ・イシグロ作品。今回は短編集らしい魅力を感じることができましたが、次はまた長編小説をなにか読んでみようと思います。

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