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2019年4月22日 (月)

奇跡の人

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凄いものを、観てきました。

奇跡の人
2019年4月17日(水)13:30より
東京芸術劇場プレイハウスにて

(作)ウィリアム・ギブソン/(翻訳)常田景子/(演出)森新太郎
(出演)高畑充希/鈴木梨央
   江口のりこ/須賀健太/久保田磨希/青山勝/増子倭文江/原康義/増岡徹
   水野貴以/橋本菜摘/乙倉遥/持田唯颯/古田結凪

1882年、アメリカ南部。南北戦争で大尉だったアーサー・ケラーの1歳8か月の子ども・ヘレンが熱病を患い視力と聴力を失ってしまいます。そして5年後。三重苦を背負った少女にしつけをすることを諦めてしまったケラー家の人々のもとにやってきたアニー・サリバンという20歳の女性は、ヘレンに「言葉」を理解させようと奮闘することに…というお話。

レン・ケラーのことは、子どもの頃に読んだ伝記で知っていました。目が見えず耳が聞こえないということを、大変なことだ…と子どもながらに思いはしたものの、大人になってその大変さや周囲の人々の苦悩などを想像すると…「物には名前がある」ってとても単純で、ほとんどの人が物心ついたころには考えるよりも前に知っていることなのに、それを見たり聞いたりできない人が理解するとか、理解できるように教えるとか…、なんて困難なことだろう、と想像を絶するとしか言いようがありません。 そういう意味では、ヘレンが「言葉」というものに出会うことができたということ、アニーという人と出会えたということ、それは「奇跡」だと思わずにはいられません。
高畑充希さん演じるアニーと鈴木梨央さん演じるヘレンが食堂のテーブルを中心に繰り広げる攻防、ふたりで生活することになったガーデンハウスでの攻防。暴れるヘレンをなんとか自分の思うとおりにしようとするアニーの必死な感じがすごく伝わってきて、つい可笑しくて笑ってしまう場面もありつつ…ふたりの息がぴったりで本当に見事でした。ちょっとでもタイミングを外したら大けがになりかねないだろうし、たくさんの練習を重ねての信頼関係を築かなければとてもできない場面だと感じました。

ヘレンの両親であるアーサーとケイト、ヘレンの異母兄であるジェイムズなど、アニーとヘレン以外の人物にもいちいち感情移入してしまって、ぐっとくる場面が何度も何度もあって辛いほどでした。
両親の、言葉でコミュニケーションが取れるとか、目と目で見合ってコミュニケーションを取るとか、ヘレンに視力や聴力があったら当たり前のようにできることができないもどかしさ。愛しているあまり、不憫だと思うあまり甘やかしてしまう部分。でもそれをなんとか乗り越えようとする姿。そういうところを益岡徹さんと江口のりこさんの表情や身のこなしなどから、たくさん感じることができました。
とくに印象深かったのは、須賀健太さん演じる兄・ジェイムズでした。最近、障害や難病などのある人の兄弟姉妹を指す「きょうだい児」という言葉を見聞きする機会が何度かあったこともあるかもしれません。実の母をなくした寂しさや辛さ、そしてそれを分かち合うはずの父は新しい奥さんを迎えて子ども(ヘレン)が生まれる。さらにヘレンが視覚と聴覚を失ったことで彼女中心の生活になる我が家…。血の繋がらない母であるケイトを憎めるかといえばそうでもなく(たぶん、ケイトが意地悪な継母ではなかったから)、父の言動に皮肉を言いながらも面と向かって意見をすることもできず。そんな彼がケイトに「ぼくたち友達になれないかな?」と持ちかけて「最初からそうよ」と返される場面や、父に「あなたは間違っている!」と立ち向かう場面に、心を揺さぶられました。

そしてついに、ヘレンがポンプでくみ上げられた井戸の水に触れ、アニーが教えたかった「物には名前がある」ということを理解する場面が。
…私が観ていた席はこのポンプが目の前にある場所だったこともあって、「言葉」を体で理解した瞬間、雷に打たれたような衝撃とともに殻を破って飛び出して世界とつながった瞬間を、その表情や体全体から感じました。そして、アニーがしつけの過程では「それはダメよ」ということをたくさん教えたけれど、本当に言いたかった「そうよ」が言えて喜びに震えているのも感じました。それから、ヘレンに奇跡が起きたことを知った家族や屋敷で働く人々の驚きと喜び。たくさんの感情が胸の中に渦巻いて、本当に自分でも信じられないくらい泣いてしまいました…。

高畑充希さんは2009年と2014年にヘレン役を演じてのアニー役。それ以前にも鈴木杏さんが両方の役を演じたことがあるとか(2003年にヘレン、2009年にアニー)。今回ヘレンだった鈴木梨央さんが20代とか30代くらいになって、もっと若い女優さんを相手にアニーを演じる日が来るのかもしれないし、それまでに他にもたくさんの作品に出演されていくんだろうなあと思うと、なんだか勝手ながらワクワクしてきます。
ヘレン・ケラーのお話はだいたい知っているし、それぞれにドラマや映画で目にする機会が多い役者さんが勢ぞろいで嬉しいなあ~というわりと軽い気持ちで観に出かけた気もしますが、想像以上に熱く、激しく、濃く、温かく、優しくて、…本当に素敵で素晴らしいものを見せていただきました。

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