野村萬斎「狂言を楽しむ会」in長野・北野文芸座
午後から有休をもらい、車でひとっ走り長野市まで。
先月の塩尻能に続き、地元での萬斎さんです♪
会場になる北野文芸座には、前回の萬斎さんの狂言会以来、約1年ぶりになります。
野村萬斎「狂言を楽しむ会」
(長野・北野文芸座にて)
解説:野村萬斎
袴姿で登場した萬斎さんの素敵過ぎるお姿に、もうそれだけで…わくわくしてきました。髪は、ちょっと襟足のところが伸びて少し長め、前髪もちょっと長いのを斜めにサッと流していました。細身で色が白くて、もうどこからどう見ても私好みなところばかりで、もう駄目です(爆)。帯のところに差した扇すらカッコよく見えてしまう、相当重症な私です…。
最初に「こんばんは」と挨拶されましたが、客席からの返事が小さく「長野の方は大人しい方が多いようで…」とおっしゃってました。いけないいけない、今度は頑張ってちゃんと大きな声で挨拶をしなくては…。
低く渋いお声で語る演目についての解説は、ユーモアたっぷりでたくさん笑いながらも、思わずなるほど~と頷いてしまうような内容もあり、ほんとに楽しめました。
まず「水掛聟(みずかけむこ)」について。水掛け論の“水掛け”はこの曲のような状況をいうのかも…とおっしゃって「辞書で調べると、なんて書いてあるんでしょうね…えーまぁ特別調べてきてはいないんですけども」と、ちょっと気まぐれな感じでお話されている雰囲気が、なんだか可笑しかったです。
…で。私、図書館で調べてみました(余計なお世話)。
「水掛け論」…(ひでりの時、百姓が互いに自分の田へ水を引き込もうとして争うことから)双方が互いに理屈を言い張ってはてしなく争うこと。水掛け合い。(岩波書店「広辞苑」第6版より抜粋)
また集英社「日本語大辞典」には“水の掛け合いのように、勝敗に決めてのない論争の意からともいう”ともありました。
この曲は農耕をテーマにしたものということで、五穀豊穣を神に感謝して演じられた「三番叟」のことにも触れられて、もともとは田んぼのぬかるみにはまった足を抜く動作から生まれた振りをちょっとやって下さいました。萬斎さんのお家に伝わるものは、だいぶそういった土のにおいのようなものから切り離した舞踊的なものになっているということで「どちらかといったら“シェー”という感じですが」と、客席を沸かせていました。
そして「悪太郎」について。“悪”とは“悪い”という意味合いよりは“強い”というような意味合いだということでした。萬斎さんのイメージではヒーロー的な人物というよりは黒ずくめの猛者とかそんな感じだとか。“黒ずくめ”と聞いて私の中ではことし1月~2月に萬斎さん主演で放送されていた「鞍馬天狗」を思い浮かべてしまいました。大酒呑みで乱暴者の悪太郎に萬斎さんは、若いときのエネルギーをもてあましている様子、それを発散する方向が酒だったのだろうとお話されていました。萬斎さんの若いころはツッパリとかなめ猫とかが流行っていたそうで…そういう単語が萬斎さんの口から飛び出すのはなんだか面白かったです。萬斎さん自身はエレキギターを掻き鳴らしていたことがあったということで、エッセイに載っていたエレキギターを弾いている若いころの写真を思い出して笑ってしまいました…。
…そんなこんなで萬斎さんのお話による楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、いよいよ上演開始です。
水掛聟(みずかけむこ)
聟:高野和憲 舅:石田幸雄 嫁:竹山悠樹
稲の育ちは順調なものの、日照り続きの夏。聟は田の見回りに行き自分の田に水が無いことに気づき、隣の舅の田との境にある畦を切り水を引き入れます。入れ違いにやってきた舅は、自分の田に水がないことに驚き再び水を引き入れ水の番を始めるのでした。そこへ聟が戻ってきて、ふたりは口論になり…。
入れ違いにやって来る聟と舅が自分の田に水を入れようとし、顔を合わせたところでその水をめぐって争いになります。最初は畦を切ったりそれを埋め戻したりの繰り返しですが、それでは埒があかなくなり、今度はお互いに水や泥を掛け合うようになります。その争いが…ふたりにとっては生活のかかった、もっと言えば命がけのとても真剣なものでしょうが、見ている側にはなんだか子どもじみた喧嘩のようにも見えてきて…その、真剣さゆえの滑稽さが可笑しかったです。
悪太郎(あくたろう)
悪太郎:野村萬斎 伯父:野村万之介 僧:深田博治
乱暴者の悪太郎。酒を飲むことを非難する伯父を長刀(なぎなた)で脅してやろうと出かけていきますが、そこでもたらふく酒を飲み正体をなくし道で寝込んでしまいます。そんな悪太郎を心配し後をつけてきた伯父は、道端に寝ている悪太郎を僧の姿にし「お前を今後、南無阿弥陀仏と名付ける」と言い渡して去っていきます。…朝になり目を覚ました悪太郎は…。
この曲を観るのは私にとっては2回目。前回は2006年3月、世田谷パブリックシアターでの「狂言劇場その参」(レビューはこちら)。このときは僧が野村万作さんでした。同じ曲でも演じる人が変わることで印象というか、演じられ方も変わってくるというのもあるかもしれません。今回、僧を深田さんが演じるのを観て、息のぴったりなところや、あとは萬斎さんと同年代ということもあって、すごくアクティブに感じられる部分がありました。
そして、本来目上の存在である伯父に対しすごく偉そうに振舞う悪太郎と、とくに何も言わず従う伯父という関係。それがやっぱり可笑しくて仕方ありませんでした。
忙しいなかでお休みを頂くことにためらいもありましたが…おかげで楽しい時間を過ごすことができました。
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先週末、能と狂言の催しに出かけてきました。




でも、楽しみなのは狂言もですけど、萬斎さんが演目の前に解説をしてくださるっていうのも楽しみで…いそいそと出かけてみました。












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